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(株)タマス

 

小さな井戸を深掘りし、世界を制した卓球ブランド!
業種:卓球用具メーカー
(株)タマス

小さな井戸を深掘りし、世界を制した卓球ブランド!

「ブランドは経営資源と位置づけ、卓球という小さな井戸を深く掘り続けてきた。そのことが半世紀を越える社歴を刻み、後発ながら世界トップシェアを獲得できた理由」と独自のサクセスストリーを回想するのは、卓球用具の“バタフライ”ブランドで世界に知られる(株)タマス(東京都杉並区、従業員数130名)の田舛社長。

同社は半世紀程前の1950年に創業した。卓球用具メーカーとしては後発だった。後発が故に二つのこだわりがあった。

一つは「徹底したマーケティング」。卓球の世界選手権に出場した選手一人ひとりにインタビューして、ラケットの善し悪し、注文を聞いたり、数百人の選手に無償で製品を提供し、細かな需要の変化をつかまえるなど、使用者の立場に立った商品開発に徹した。現在、シドニー五輪シングルス優勝の中国のエース・孔令輝選手をはじめ、五輪や世界選手権に出場した選手の半数以上が同社のラケットを使用し、あの愛ちゃんこと福原愛選手を含む日本選手にも愛用者が多い。今では世界80ヶ国以上で使われ、「トップクラスの選手に使ってもらう“頂上作戦”がブランド力確立のための大切な戦略」と自信を深めている。

もう一つのこだわりは「高品質の製品」。外部への委託生産が多い業界の中で、同社は品質管理を重視し、自社工場で生産を続けるとともに、選手からの注文による手作り製品にも対応している。材質はヒノキの一枚板もあれば、炭素繊維などを挟んだ重ね合板もある。面の大きさ、厚さ、握り感覚などは百人百様。重さ90グラムが主流だが、海外の選手は重めを好む。「使い手の要望に応える製品づくり」がシェア拡大にもつながった。

商標のバタフライは「選手を花に例え、花に仕える蝶」を意味しているという。だから、用具の製造・販売だけでなく、選手や愛好家の育成と、卓球のメジャースポーツ化を目指す地道な井戸掘りは続く。小さなラケットで大きな夢をたたく音が聞こえるようだ。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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