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2009年の記事

 

 

 

株式会社キメラ

 

若者が担う超短納期の離れ業

業種:金型部品の超短納期加工
株式会社キメラ

スピード経営が益々求められる時代である。製品の納期を守るのは当然のこと。受注から納品までの期間をいかに短縮できるかどうかが、企業の将来を左右する時代ともいえる。金型部品の納期はかつて3ヵ月以上かかるケースがあったが、これではスピード経営にキャッチアップ出来ない。各企業とも製造工程の改善を進めるなどの努力を重ね、2週間程度まで短縮した。しかし金型部品の場合、いくら急いでも1週間はかかるというのが業界の常識といわれていた。

株式会社キメラ(北海道室蘭市)は受注した日から中1日を置いただけで完成品を航空便で納品するという離れ業をやってのける。この秘密はユーザーが作成した図面データ、3次元モデルデータを電子メールで送付してもらい、改めて3次元データにして、関係部署全員がそのデータを共有することから始まる。そして「若手技術者がこれまでに培った切削・研削・放電加工などのノウハウとフレキシブルな頭脳を駆使して対応する」(宮崎秀樹社長)ことになる。もち論、完成品は高品質を確保、ユーザーから高い信頼を得ている。

北海道・室蘭に拠点を置くだけに、地の利は良くないが、この悪さを克服するために、全てに対し、スピードを追求したというわけだ。現在、オーダーメード製品を中心に月に8000点の精密金型部品を受託している。これだけの点数を処理するにはIT技術をフルに活用しなければ解決できないし、1分でも早くユーザーに届けるために、若い力を最大限に活用している。

同社にとって技術力の源泉は高性能マシンと人材だ。とりわけ「人材は宝」(同)といえる。金型メーカーなど機械加工分野は、キャリアの長い職人が多いが、同社は平均年齢が30歳程度と、業界平均よりはるかに若い。ハイテクの加工用マシンを操作し、最大限の機能を引き出すためには「若い能力が必要」という判断からだ。この若さが生産のスピードアップにつながっている。

同社は新たな成型用金型の開発に取り組んでいる。「加工条件の最適化による高機能かつ、微細な多極を有する狭ピッチコネクター用成型金型」で、「中小ものづくり高度化法」の認定を受けている。当然、加工対象物の加工条件を最適化するためのソフト開発なども含まれる。さらには工具選択、作業手順などが自動でできるソフトも開発しなければならない。ここでもスピードが要求される。どこにも真似が出来ない超短納期が、技術開発のスピードアップに役立っているはずだ。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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