中央図研
■社員の資質に「明るさ」を求め、活性化へ全社一丸
業種:機械設計
中央図研
元気いっぱいの中小企業は、技術やサービスの質が高いだけでなく職場が生き生きとして明るい。言うまでもなくトップから一社員まで「いい顔」をしている。訪問客はその企業に足を踏み入れただけで、こうした雰囲気を敏感に感じるものだ。しかし言うは易く…で、「本物の」明るさを組織に植え付け、活性化させるのはそう簡単なことではない。
自動車産業の一大集積地、愛知県に中央図研(名古屋市)という機械設計を主力とする中小企業がある。柳田増江会長が30年ほど前、製図やトレースの請負を始めたのが会社創業のきっかけ。当時の手作業からコンピューター利用設計に作業内容は百八十度変わった。自動車関連の設計のほかプレゼンテーション用電子マニュアルなどの仕事も行っているが、同社の特徴は何と言っても航空機の胴体フレームなどの開発設計、整備士用電子マニュアル作成など航空機関連に強みを持つ点だ。
柳田雅史社長は「航空機は山谷あるが増える方向」と謙虚だが、地道に取り組んで得た専門知識は強力な武器だ。この将来に期待を抱かせる会社が掲げる理念が興味深い。社員の資質に「最良の明るさ」を求めている点である。そして掲げるモットーは「なんでもやってみよう」。明るさを持った社員は前向きで健康的な発想と行動をし、これが顧客にはね返り、お互いの良好な関係に結びつくという、ある意味でわかりやすい考え方だ。
同社には、柳田社長が事業本部長だった4年ほど前に始めた、通称「はなまる会」という改善活動がある。本物の明るさを生む基本は、社員の地道で前向きな努力。中堅社員約10人と柳田社長が月2回集まり、約2時間半にわたり日常業務で埋もれがちな問題点を洗い出し、改善策を考える社内会議である。「馬鹿みたいにやり続けることが大事」(同社長)と言い、会議は100回を優に超え、厚さ8センチの議事録ファイルはすでに5冊。
これが社内のミス激減につながり、自分たちで取り組んだことに社員は自信を持った。職場の明るさの背景には、こうした前向きな努力の積み重ねがある。また三菱重工業による国産小型旅客機「MRJ」の愛知県内での製作決定など会社に対する将来の可能性も、社員の主体性と一体感を高めていると考えられる。本物の職場の明るさとは掛け声だけでは生まれないもの。トップが掲げた旗に自分たちのこととして主体的に関わっていく―同社の取り組みは他の中小企業にも大いに参考になると思われる。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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