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クロバー(株)

■「ニットカフェ」で手芸の楽しさを体験

業種:あみもの・手芸・ソーイング用品の製造販売
クロバー(株)

温かい紅茶・コーヒーとおいしいケーキを味わいながら手編みを楽しむ「ニットカフェ」が静かに広がっている。あみもの・手芸・ソーイング用品のトップブランドであるクロバー(株)(大阪市)の岡田康弘社長がその仕掛け人だ。「喫茶店でニットのワークショップ」を開くという珍しさと新鮮さが受けた。参加者からは「あみものってこんなにクリエイティブなものとは」の声もあがる。

同社が法人化されたのは戦後間もない1947年。それ以降国内であみもの・手芸教室が大いににぎわったこともあったが、いつのころからか下火になった。「どうにかしてしっかりしたマーケットをつくりたい」―こんなことを考えているとき米国子会社の売り上げが急激に伸びた。岡田社長はその理由を突き止めようと6年ほど前に米国のニットイベントに参加してみた。

そのイベントで深い感銘を受けた。このため日本でもニットイベントを開催して顧客の基盤を広げるきっかけをつくろうと決意した。米国では当時人気女優が「ニットを編んでいると心が落ち着く」などと雑誌のインタビューで答えるなど、スターがニット人気を先導するという相乗効果も起きていた。

帰国した岡田社長は日本でもこの方式を取り入れた。「喫茶店でニットをします、というのは拒否反応もあるのでは」(同)との不安もあったが、これは見事に杞憂に終わった。「ニットカフェ」でのワークショップは大賑わいだった。大阪から始めたニットカフェは東京はじめ全国に静かに広がりつつある。2009年10〜11月には東京・表参道、青山、原宿周辺のカフェで期間限定のワークショップも開いた。カフェでは同社の毛糸や編み針などの製品も販売し、新規の顧客開拓につなげている。

「普通の人が普通に楽しめることが大事」とは同社長のモットーだが、これ
は製品開発にも生かされており、編み針などの道具類は数十工程をかけて製造するなど昔ながらの技法を守り高品質を維持している。手作り、趣味、自分らしさの表現など時代に合うキーワードが、このニットカフェに込められていると言えそうだ。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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