(株)第一食品
■病院食を変え、自らも変革した大阪の給食業者
業種:完全院外給食事業
(株)第一食品
「後込みしたらビジネスチャンスはつかめない。その思いで先陣を切って突き進んだ。難関をクリアしたことで、新たな市場に一番乗りできた」と述懐するのは、完全院外給食事業という新市場を切り開いて給食業界の注目を浴びている(株)第一食品(大阪市、従業員244人)の小宮秀範社長。
完全院外給食事業とは、病院の施設外で患者の食事を調理・製造し、温かいままの状態で配送・配膳する給食事業のこと。従来は院外での調理が禁止されていたが、平成8年の規制緩和で院外調理が可能になったため、同社がいち早く事業化に取り組み、平成12年に新業態としてビジネスモデル特許を取得した。
事業化には、難関を乗り越える必要があった。規制緩和されたものの、工場での大量生産には適さないと同業他社が後込みする中で、同社はセントラルキッチンでのレシピ管理を確立し、同時に温かいまま配送する専用カートを開発した。新たな調理法と配送システムによって、病院食はまずいというイメージを払拭し、院内の厨房を不要にするなど、患者と病院の双方にメリットを生み出し、現在では専用工場を持ち1日6000食を扱う大きな事業に育っている。
もともと同社は昭和47年の創業当初からの給食業者。社員食堂や学生食堂の給食を受託し、病院の院内食なども手掛けていたが、いずれも業界では後発だった。バブル崩壊後は企業の社員食堂も減少していただけに、規制緩和に対しては生き残りをかけて対応した。それが奏功し、今度は新サービスで新分野を切り開くトップ企業へと様相を一変したわけだ。
折しも、今年の医療保険制度の改正や病院経営の改革を促す医療法の改正なども追い風となって、同社の新業態は「これから本格的な拡大期」に入る。その勢いで「ここ数年内には株式公開を果たしたい」と自社の改革にも拍車がかかりそう!
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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