東京総研トップへ

元気な企業(最新)

2012年の記事

 

 

 

(株)大光研磨

■「最低価格で提供できる体制」

業種:切削工具の再研磨・再生
(株)大光研磨


リーマン・ショック、東日本大震災、超円高など、国内製造業は依然厳し環境が続く中、中小企業の中には顧客を増やす企業もある。切削工具の再研磨・再生を手掛ける(株)大光研磨(北九州市)はそうした企業の一つ。成長の理由は資源の再利用という時代の波に仕事がマッチしたこと、短納期・低価格で提供できる体制を築いたこと―などが挙げられる。

霜手道孝社長が創業したのは平成5年。以前は切削工具を再生する会社の営業マンだったが、その会社が事業をやめることになり、顧客から継続の要請を受けて起業を決断した。手掛けるのは、工作機械での使用により摩耗した切削工具を新品同様に研磨する再研磨と、再研磨できないほど摩耗したものを、形状が全く異なる工具へ再生するという2つの事業。創業時に引き継いだ顧客は九州・山口地域で約100社。これが現在では300社以上に増えている。

その秘密はまず仕事のスピード。通常は2カ月はかかるともいわれる再研磨を、最短で「翌日には届けることが可能」という。研磨に使う工具などはメーカーから直接仕入れ、顧客との取引も基本的に直接行う。商社などを介さないことで中間マージンを支払う必要がなく、「最低価格で提供できる体制」をこうして整えている。

「短納期で低価格」と業界で人気を呼び、顧客は口コミで広がった。また地道に技術力を高めたことも顧客数増の要因だ。顧客の様々な注文に細かく対応することで技術力を高め精度を向上させた。国内外の最高精度とされる研削盤を導入、加えてドイツの非接触型測定機も導入した。加工精度を数値化し顧客に提示する狙いからだ。

一方、創業以来の目標だったチタンなど難削材向けの自社ブランド切削工具「ビートル」も製品化した。このオリジナル製品は荒削り用の刃と仕上げ用の刃が一対となり高速切削が可能な工具で、合計6枚の刃を持つ独自の構造にした。すでに約30社で採用されているほか、国内大手重電メーカーの航空機部門への採用も決まっているという。同社の今後の重点戦略は高精度追求と難削材への対応強化。再研磨・再生からスタートし、さらに技術を磨く同社は日本のものづくりに大いに貢献することが期待される。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


著作者の承諾を得て掲載しています。無断転載ご遠慮願います。

 

▲ TOP

2012年の記事に戻る