株式会社大東精機
■世界一を目指す
業種:一般鋼材の加工マシン製造
株式会社大東精機
企業は志の高さが大切だ。中小企業の場合とくに大事だ。中小の場合、押し寄せる荒波が大きいからだ。風雨でくじけがちの時こそ、志を原点に難関を突破する必要があるからだ。「目指せ世界一」を志として、飛躍してきた株式会社大東精機(兵庫県尼崎市、杉本忠博社長)も高い志が有効に働いた典型の企業だ。
同社は形鋼用帯鋸盤(バンドソーマシン)、形鋼用穿孔機(ドリルマシン)など、一般鋼材の切断、孔あけ、研削などの加工マシンの専門メーカー。いまや主力製品の国内シェアは約70%を誇る研究開発型の企業だ。技術、製造にとどまらず、営業、管理も含めて各部門で「目指せ世界一」のキャッチフレーズを掲げて、飛躍をはかってきた。
同社の創業は1959年(昭和34年)。杉本社長、26歳のときだ。高校卒業後、機械設計事務所に勤めていた杉本さん、機械設計、製造が自らの適性と判断し、起業に踏み切ったのだ。一般鋼材用バンドソーマシンの開発が最初だった。知人から米国製輸入機械の写真を見せられ、「これと似た機械を作ってほしい」と依頼されたのがきっかけ。直径200ミリメートル太丸鋼材を切断する機械を開発した。といっても簡単に商売が成立したわけではない。大阪・立売堀を足を棒にして売り歩いた。苦難に苦難を重ねた。くじけそうになったときもあった。そんな時「目指せ世界一」と胸に刻んだ志を想起し、気を奮い起こしてもう一軒もう一軒と取引先開拓に歩いた。苦難の末、ある工具商社と契約にこぎつけ、本格的に起業家の道を歩みだした。
71年に開発したバンドソーマシン、75年に開発したドリルマシンは、ともに独自機構を採用した形鋼用加工機として大ヒットした。従来は材料を動かして切断の角度や位置を決めていたが、同社のバンドソーは機械下部にターンテーブル機構を装備、材を固定したままで機械本体を旋回して角度切りを可能にした。ドリルも材を動かさず、ヘッドを自在に動かして3方向から同時に穴あけできる位置決め機構を開発した。その後も生産現場無人化の流れが来れば、それに対応できるシステムを開発、常に「目指せ世界一」の志を高く掲げて変化を先取りしてきた。
バブル崩壊後の経済危機も志に絶えず戻って乗り切ってきた。杉本社長は言う。「今後も研究開発型の企業としての遺伝子はしっかり持ち続ける」。また「他社と一味、ふた味違う開発を心がける」とも。「目指せ世界一」の志は従業員はもとより、取引先にもしっかり浸透している。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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