ダイヤ工業(株)
■「通信販売で接骨院市場を開拓」
業種:コルセット、サポーターなどの製造販売
ダイヤ工業(株)
中小企業にとって発展の条件とは何だろうか。製造業でいえばまず、成長分野を見極めて得意な技術を生かせるかどうか、身の丈に合った販路開拓ができるかどうか、そして将来を担う人材を育成・採用できるか、などがまず挙げられようか。だが、これを現実にやり切るのは容易なことではないし、そこに経営の難しさもある。
コルセット、サポーターなどの製造販売を手掛けるダイヤ工業(株)(岡山市、松尾正男社長)が設立されたのは昭和38年。ミシンを使い女性用のバッグなどを作っていたが、売り上げが7割も占める取引先が突然倒産し、たちまち存亡の危機に立たされた。その時「下請けよりはメーカーになりたい」(松尾社長)と会社の方針を180度切り替えた。
それからほどなくして、腰痛用の牽引器で急成長している会社から仕事の声がかかり、「バッグを作っていた時とは雲泥の差の活況ぶり」を肌で感じた。また、コルセットを使っていた知り合いから「幅が広くて固い」との指摘を受け、幅を狭くするなど改良してあげると大変喜ばれた。利用者ニーズにきめ細かく応えていけば医療関連製品を作っていけるのではないか。これが医療関連分野を手掛けるきっかけだった。
コルセット製造は同社のミシンの技術も生かせる。だが困ったのが販路。問屋の力を借りてもうまくいかず、病院はハードルが高く、薬局は返品という条件が同社の考えに合わない。そんな時、接骨院の先生から「既存の商品では患者の体型や症状に応じて自由に商品が選べず、思ったような効果が上がらない」と聞き、ニッチな市場である接骨院に的を絞ることにした。最初はイラストを手書きで描いたハガキを送ることから始めた。
全国に接骨院は約4万カ所あるといわれ、同社の通信販売による取引先はその6割強に及ぶ。製品は接骨院の先生を通じて患者に渡す、いわゆるBtoB。接骨院の千差万別のニーズに丁寧に応え、「そこに弊社の生きる道がある」とする。平成10年からは毎年新卒採用を開始、平均年齢は現在28.5歳。さらに中小機構が運営する岡山大インキュベータに平成20年に入居し、製品開発を産学連携で進めている。ダイヤ工業は中小企業の発展の条件を見事にクリアしつつある。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
著作者の承諾を得て掲載しています。無断転載ご遠慮願います。
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