(株)ドゥ・ハウス
■「聞く力を事業推進の原動力に」
業種:マーケティング支援
(株)ドゥ・ハウス
昨年、単行本で発行部数が唯一、100万部を超えたのは阿川佐和子さんのエッセー集「聞く力」だ。今年に入っても売れ続け、累積部数は140万部に達したという。それだけ、人々の聞く力に対する関心は高いということだろう。30年以上前、その聞く力を前面に打ち出して立ち上がったのがマーケティング支援の(株)ドゥ・ハウス(東京)。同社は現在も創業時のコンセプトを維持した上で、独自のビジネスモデルを軌道に乗せて着実に成長発展しつつある。
商品と生活者、店頭と生活者、生活者と生活者、商品担当者と生活者…。こうしたモノや場や人にかかわる様々な"接点"を生かした販促・調査事業を手掛けているのがドゥ・ハウス。「元祖ネットワーキング屋」(稲垣佳伸社長)という通り、多様なネットワークを1980年代にいち早く築いた。そのシンボルとなるのが「DOさん」と名付けた主婦たちを組織化したDOさん・ネット。DOさんとは聞く力の大切さを理解し身につけた人たちで、主婦パワーの活用ひいては主婦産業の創造も、同社創業の理念、目標となった。
「ドゥ・ハウスのすべてのサービス、研修のベースに聞く力があります。聞く力とは物事をあるがままに受け入れ、その受け入れたモノや相手になってみて感じ、そこで感じた様をそのままに表現する運動のことです」(同社ホームページより)。ちょっと難解な言い回しだが、聞く力を原動力に各事業を進めている同社の姿勢は十分、読み取れる。
聞く力により、初めて「事実」が導き出されるとする。「事実とは発見し開発するもの。マーケティングと定性情報の世界では"意見"が幅を利かせています。そうした中で、ファクト=事実に注目し、"1000分の1の変化の芽"を発見する技術を私たちは日々磨いています」(同)。そんなドゥ・ハウスを評価する消費財メーカーや小売業が徐々に増えて、各社が優良クライアントとなり同社の業績伸長に寄与して今日に至る。稲垣社長は「急成長ではなく、確実に中身をつくりながら"亀さん成長"をしてきた」と振り返っている。
ところで、ここへきてビッグデータが大はやり。市場調査・分析をはじめ様々な分野で活用が本格化している。ビッグデータ活用の肝となるのは、データの意味を読み解くデータサイエンティストと呼ばれる人たちだ。そのデータサイエンティストとDOさん=聞く力の達人とは相通じるように思える。そうした点からも今後どう進化・発展していくのか、社歴33年と壮年期にさしかかったドゥ・ハウスの行方から目が離せない。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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