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(株)ディーフィット

■「源は老舗・金箔屋の和コスメが世界に羽ばたく」

業種:日本発の化粧品の開発販売
(株)ディーフィット

金箔といったら、古都・金沢。国内生産量の99%を占める独占的な金箔産地として、つとに知られている。その地の老舗・金箔屋をルーツとして、今、世界に向かって大きく羽ばたいている商品がある。ディーフィット(東京、立川真由美社長)の各種化粧品類がそれ。同社では、和コスメ「まかないこすめ」のブランドを国内で確立したうえで、いま「和コスメの実力を世界に届けます」(立川社長)と、欧州やアジアで着々と実績を積み上げている。

立川社長は1899年(明治32年)創業の金箔屋「吉鷹金箔本舗」(金沢市)に生まれ育った。金のかたまりを1万分の1ミリメートルにまで薄く、均一に伸ばす金箔製造の現場は、高熱、乾燥、無風といった過酷な作業環境で、働く人、とくに女性の肌へのダメージが小さくない。そこに“生活の知恵”が生まれる。「現場で働く祖母や母たちは、肌を守るために身の回りの材料で天然の化粧品を作っていた。まかないこすめの原点です」(同)。

吉鷹金箔本舗は、仏壇に金箔が使われなくなったりして金箔市場の縮小が続いたため、平成17年に幕を下ろす。ディーフィットはその6年前、平成11年に発足。金箔製造の副産物である「あぶらとり紙」を手始めに徐々に品ぞろえを増やしていく。品ぞろえの基本となったのは、へちま、ぬか、こんにゃく、和紙など“まかない素材”を用いた金箔屋100年の知恵。まかないから生まれた美肌づくりのノウハウを、まかないレシピとして集約し、まかないこすめブランドを確立した。

柿渋、卵の薄皮、大豆などの絶妙レシピのハンドクリーム、桑白皮(そうはくひ)、甘草、紫蘇、はと麦などを配合した化粧水、凍りこんにゃくの洗顔用スポンジ、和紙と綿を織り込んだ和紙タオル…。これら商品を、東京、大阪、仙台、金沢などの直営11店舗およびネットショップで販売し、順調に売り上げを伸ばしている。さらに、パリの高級百貨店やマレーシア・クアラルンプールの国際空港内などでも販売し、好評を博している。立川社長は「ハラル化粧品としてムスリム(イスラム教徒)のニーズに応えたい」と海外市場の開拓にも意欲満々だ。

金箔屋の内需を外需化し、美容×地域資源の新商品を生みだす。埋もれていたノウハウや技術を引っ張り出して、世界に通用するブランドを築き上げる…。同社の事業のバックボーンを形成するのは、金箔屋100年の歴史と、そこから紡ぎ出された物語であろう。金箔の製造から化粧品の事業化へ。“第2創業”を果たした同社では、「まかないこすめは100年の歴史から生まれた、確かなコスメです」と訴求している。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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