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スイコー(株)

■「回転成形」一筋の中小企業が見せる挑戦者魂

業種:ポリエチレン製品の回転成形
スイコー(株)

「回転成形」という聞きなれないポリエチレン製品の成形方法がある。金型の内部に粉末ポリエチレンを投入してバーナーや熱風などで加熱しながら回転させて溶かし、これを冷却した後成形品を取り出す。タンクなどの大型製品や意匠性の自由度が高いものまで、比較的少額の金型投資で製品化できるという。この技術は大手が参入しにくい小ロット・多品種生産に向いているが、残念ながら国内では欧米諸国ほど知名度は高くない。

この成形法一筋に歩み、あと2年で創業半世紀を迎えようとしているのがスイコー(株)(兵庫県尼崎市)だ。横山隆人社長は父親が創業した後を受け継いだ2代目。この技術を使った製品の生産量が国内で1万トン弱ある中で、同社のシェアは35%。大型タンクでは何と50%のシェアだ。「こういう仕事は歯を食いしばってやっていかないと信頼されない」(横山社長)と言い、長年積み上げてきた実績は高く評価されている。

ただタンクなどの製品の耐用年数は10年以上と長い。堅実経営とはいえ買い替えを待つだけでは先行き不安になる。ちなみに目を欧米諸国に転じると生産量は百数十万トンもあり、用途も家具、玩具・遊具、自動車部品など多岐にわたる。国内ではこれらの分野にはほとんど普及していない。「海外視察でこれを目の当たりにし非常に参考になった」(同)。

このため横山社長は新機軸として「脱容器」と「環境にやさしい製品」などを経営の看板に掲げた。脱容器とはポリエチレン製品の用途開発を進め新市場を開拓すること。すべり台、カヌー、スツール、フラワーポットや照明器具と組み合わせた製品などを提案する。環境関連では大型タンクなどの劣化診断を行い、リサイクルを促すなどという事業戦略を進めるものだ。

同社は新市場に積極的に打って出るため、中小機構主催の「中小企業総合展in Kansai」に平成21、22年と連続出展し、いずれも「ベストプレゼンテーション賞」を受賞した。「回転成形法の良さを世の中に広めたい」(同)という試みと新分野への販路開拓は緒についたばかり。老舗企業の挑戦者魂に注目したい。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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