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(株)環境経営総合研究所

■「無用の廃棄紙を新素材に"変身"」

業種:紙と樹脂の複合新素材製造
(株)環境経営総合研究所


無から有を生む。無用の長物を価値あるものへと"変身"させられれば、これほどうまい話はない。そんな夢物語を現実のものとしたのが環境ベンチャーの(株)環境経営総合研究所(東京都)である。産業廃棄古紙といわれる製紙会社などから出る大量の廃棄紙と合成樹脂を混ぜ合わせ、機能性や経済性に優れた新素材を生み出す。まるで魔法のような事業を軌道に乗せて、その拡大発展の勢いは増すばかりだ。

これまで合成樹脂と無機フィラー(充填剤)の組み合わせは多数存在するが、樹脂と紙を混ぜ合わせるのは、水と油を一体化するような難しさから、世界でも例がなかった。それを同社は、紙をすりつぶし、数十ミクロンオーダーの微細な紙パウダーにするという独自技術の開発により世界初を実現させた。

前例のない技術をどのようにして生み出したのか。そこには、セレンディピティといわれる偶然と幸運そして気づきがあった。松下敬通社長はある日、そば屋で、石臼でそばを挽く光景をふと目にし、ひらめいた。石臼のような装置で紙をすりつぶせば、求めている微細な紙パウダーを作れるはずだ。そう直感した松下社長は粉砕機メーカーと掛け合い、石臼形の新装置の開発に乗り出す。直感は正しく、開発した装置により目指す紙パウダーが出来上がった。

主力製品となる紙と樹脂の複合新素材は緩衝材や断熱材として広く活用されている。ここへきて、各種トレーや自動車の内装部材、ファンなどのケーシングをはじめ新たな用途開発も急ピッチで進んでいる。「軽さ」と「強さ」を兼ね備えており、最先端のハイテク素材として航空機などに採用されている炭素繊維と相通じるところもある。

同社は15年前、損保会社の市場開発部長などを務めた松下社長が損保時代の仕事のからみもあって創設したベンチャー企業。前期に売上高が初めて100億円の大台に乗った。世界最大の化学会社、ダウケミカルとの協業が始まり米国へ進出。ブラジル、カナダでの事業化も具体化しつつある。法学部出身で「特許は詳しい」と自負する松下社長は、すでに世界各国で多くの特許を取得済み。将来は工場を独立・分社化し、知財で収益を上げるプランも描いている。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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