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2009年の記事

 

 

 

エコサンテ物産

 

長い時間をかけて「正しいこと」を追求

業種:ES大豆発酵生産物の機能性研究と開発
エコサンテ物産

「食」をめぐる問題が噴出し、安全、安心を志向する流れが加速している。健康食品に絞ってみると中には、販売が安定していて不況知らずの商品もあるようだ。ただ、健康食品と銘打っていても「看板に偽りあり」の商品が出現しやすい分野であり、一般のイメージは高いとはいえないのが実情だ。「ヒトの口に入る」食品分野では、とりわけ信頼性が第一。食品関連にビジネスとして取り組むには、相当の覚悟と使命感が必要だ。

食品ベンチャービジネスのエコサンテ物産(東京都、新井行雄社長)は、経営に決して拙速を求めない。新井社長が起業し、大豆発酵機能性食品の研究開発に着手したのは1992年。同社には「清く・正しく・美しく…」で始まる「心得十か条」がある。競争に夢中になっていた時に「一つのことを成し遂げるには「心」がないといけない」と気づかせてくれた友人の言葉を基にして作った。経営の基本は、「公的な評価」および「効能の科学的な裏づけ」を得ることで信頼を獲得し、これを着実にブランド力につなげることだ。

同社の主力事業は、ES大豆発酵生産物の機能性研究とこれを活用した食品の開発。このES大豆発酵生産物とは、大豆の栄養素をもとに乳酸菌の発酵作用を応用した液体。ピロリ菌・食中毒菌に対する抗菌作用があるといわれている。これを実証しようと筑波大学との産学連携により、同生産物の様々な作用メカニズムを研究してきた。同社は、例え販売を後回しにしても、科学的な根拠を求めることを第一義としている。この点に他社とは違う特色を持つ。

これは健康食品を製造する企業にとっては基本的なことに過ぎないが、利益をあげて、経営を維持することが企業存立の大前提の中で、現実問題としてはなかなか難しい。だから、企業はつい営業優先に走りがちになる。しかし同社は時間をかけてじっくり取り組んだ結果、筑波大との共同研究では、大腸がん細胞の増殖抑制効果などを実証した。加えて、ES大豆発酵生産物を活用した健康食品「エコサンテ液」の販売にも力が入ってきた。

2004年には中小企業創造活動促進法に認定、2008年には中小機構から「中小企業産学官連携成功128社」に選ばれた。健康食品分野でこうした評価を得るのは難しいことだが、新井社長は「高いハードルを越えてこそほかと差別化できる」と積極的に挑戦した。エコサンテ液では、自信を持って販売しようと、長い時間を費やして「正しいこと」を追求してきた同社長。いよいよ中小薬局を中心に本格販売に乗り出す。一般の企業経営とは一味違う同社の経営手法は、今後一段と注目されることになるだろう。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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