アースデザインインターナショナル
■産業廃棄物の追跡管理システムで環境に貢献
業種:GPSと画像を用いた廃棄物管理
アースデザインインターナショナル
企業が生き続けるためには、地球環境に害を与える存在であってはならないということは、今や至上命題。それどころか、エコカーに代表される「環境」を旗印にした製品の中には、税制や補助金の優遇を受けて「作れば売れる」ものもある。ただ過去をさかのぼってみると、生産の過程で必ず発生する廃棄物の処理という、環境に大きな害を与える課題については、企業規模を問わず厳格な処理意識を持っていたとは言いがたい側面がある。
2000年に設立されたアースデザインインターナショナル(東京都、塚本英樹社長)は、企業から排出される産業廃棄物の不法投棄や不法処理を、GPS(衛星測位システム)とデジタルカメラを組み合わせて追跡・管理するシステムを開発したベンチャー企業だ。塚本社長は、産業廃棄物処理業界に13年間従事した経験を持ち、「廃棄物処理業界を何とか活性化させたい」との高い経営理念の下に会社を立ち上げた。
産業廃棄物は、法律で定められたマニフェスト伝票に従って処理しなければならない。同社がデジタル機器を取り入れて開発した「産業廃棄物追跡管理システム」は、従来、書類上で行われていた産業廃棄物処理の確認作業に、「明確で、より正しいデータを収集する仕組み」(塚本社長)を提供できる「視覚情報」を追加したのが特徴。このシステムは、事業所から出される廃棄物の運搬車両への積み込みや処理場での荷降ろしを、デジタルカメラで処理過程ごとに記録するもの。
一方、GPSは廃棄物を運搬する車両が、排出現場から最終処分まで決められた運搬経路を移動しているかどうかを地図で確認することに使う。これら2つのデジタル機器で得られたデータを組み合わせて廃棄物の適正な処分を促すわけだ。現在、大手3社をライセンス契約先にし、それぞれの独自ブランドとしてグループ企業への導入を進める。電子マニフェスト化の進展で競争は激しくなっているが、より高度なシステムと普及活動が今後のカギになっている。
さらに質を高めるためデジカメによる静止画から、携帯電話を使った動画配信に切り替える作業を進めると同時に、産業廃棄物にICタグを付けて処理状況データを画像やGPSと連動させることも考えている。廃棄物を適正に処理できるかどうかが企業イメージを大きく変えるだけに、「環境の時代」は同社にとってフォローの風といえる。「モノが生まれたら最終的に処分される。すべてが循環される社会を実現したい」という塚本社長の信念は、今後も苦難を乗り越えて成長し続けるバネになりそうだ。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
著作者の承諾を得て掲載しています。無断転載ご遠慮願います。
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