(株)エリオニクス
■「ナノテク」で大手に負けない技術力
業種:電子線描画装置の製造(ナノテク)
(株)エリオニクス
東京・多摩地域は高度な技術と製品を持つ中小企業が集積する地域。その中でもひときわ輝いているのが(株)エリオニクス(東京都八王子市、牧内昌幸社長)。光デバイスなど次世代デバイスの研究開発に不可欠な電子線描画装置の製造などで高い評価を得ている。
同社は1975年に東京都杉並区に資本金 500万円で創業、半導体関連装置の開発製造を手掛けた。現在では電子線描画装置の国内シェアは80%。国内の公的研究機関や大学だけでなく海外進出にも積極的だ。例えば米国ではハーバード大学をはじめ複数の大学に納入している。アジアでは韓国、台湾、シンガポールなどの研究機関や大学に納入し評価は定着している。
海外売り上げは全体の約10%だが「近い将来30%に引き上げ、海外だけで10億円の売り上げを狙う」(同社)と強気の姿勢。これは大手と対等に渡り合える高い技術力があるためだ。次世代デバイスの開発は、限られたスペースにどれだけ微細なパターンを高精度、高密度に描画できるかが勝負。その代表選手として評価されているのが、加圧電力100キロボルトで最小加工線幅5ナノメートル(ナノは10億分の1)のパターンが描ける描画装置。長時間安定的に描画できるので同社の売れ筋商品だ。
技術もさることながら同社は、直接エンドユーザーに売り込む独特の販売手法をとる。「開発担当者と直接話すことで本当のニーズや課題がつかめる」、「顧客の言葉に次の開発テーマが隠されている」などのメリットがあるといい、積極的な販売体制を敷く。この販売のやり方も同社の高成長を支えている。
また数々の受賞実績も同社の実力を物語る。2006年に中小企業庁の「元気なモノ作り中小企業
300社」に選定、2008年には東京商工会議所の「第6回勇気ある経営大賞」大賞を受賞、「nano tech2010 国際ナノテクノロジー総合展」では微細加工技術部門賞を受賞した。「ナノテク」をビジネスチャンスととらえ、中小企業であっても「大手に負けない高い技術力」を持つのが同社成長の源。まさにナノテクの進化を支える企業といえる。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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