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元気な企業(最新)

2003年の記事

 

 

 

 

 

(株)イートップ

 

企業再生!文具メーカーの新たな旅立ち
業種:事務機器開発
(株)イートップ

「企業の発展は、全てが順調という訳にはいかない。否、多くの企業は苦労無くして発展はしていない。困難に直面した時こそ、それをどう克服するかが経営者の真価が問われる時でもある。それには夢と志が何よりも大切」と説得力のある口調で語るのは、自ら起業した会社の倒産を乗り越え、企業再生に挑戦、見事に復活を果たした事務機器開発会社「(株)イートップ」(東京都杉並区、従業員6名)のリーダー、海老原会長。

かつて、大手文具メーカーに勤務していた会長は、1975年、同僚と共にステープラー(ホッチキス)の製造・販売・輸出会社を設立した。事業は順調に拡大していたが、プラザ合意後の急激な円高に直撃され、売上げが激減。86年に商法による会社整理を申請し、事実上、倒産した。

ところが、ここからが違った。会長は決してへこたれず、債権者の同意・協力を得ながら、粘り強く事業を続け、2000年には債務弁済を完了、見事、会社整理手続きを終結させた。

同年7月、会長は(株)イートップを設立、再びステープラーに挑んだ。しかし、同じ失敗は繰り返せない。今度は、製造・販売を全面的に外部委託し、自社ブランドのカセット式ステープラーの開発に特化するというビジネスモデルを構築し、軌道に乗せた。

会長の不屈の精神を支えたのが、並々ならぬモノづくり魂、開発魂だった。分けても独自のステープラーに対する強い自信と思い入れは、周囲を巻き込む原動力となっている。同社の製品は、針が入ったカセットを入れ替えるだけで、二枚から数十枚の厚綴じまで1台で対応出来、綴じる力も従来の製品の半分程度と、本体から針に至るまで、特許やノウハウがギッシリと詰まっていた。

「日本の優れた中小企業の力を結集させて、優れた日本製品を世界に送り出したい」。これが会長の夢であり、「多少価格が高くても他者が追随出来ない製品開発を実現すれば売れるし、日本の中小企業にはそれが出来る」と確信している。

事業は人と良く言われる。倒産という事態にもめげず、情熱と誠意で債務弁済を成し遂げた会長の人柄に加え、徹底的にステープラー分野を掘り下げた技術力、独創力が、今日の信頼を築き上げた。過去の失敗を糧に、新しいビジネスを可能にしたのも「人ありき」だ。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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