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2013年の記事

 

 

 

(株)ユーグレナ

■「この星の3大問題を一挙に解決する」

業種:バイオテクノロジー
(株)ユーグレナ


「ラーメンから航空機まで」とは幅広い商材を取り扱う総合商社を表す言葉として知られる。では「ラーメンに入れてもよく、航空機の燃料にもなるもの」を主力商品としているのは何という会社か。答えは(株)ユーグレナ(東京)。東大発ベンチャーであり、33歳の元銀行員が率いる同社は「世界を変える事業」に今、挑んでいる。

「このまま一生、砂糖水を売り続けるのか、それとも世界を変えるチャンスをつかみたいか」とは、アップルコンピューターの創業者、スティーブ・ジョブスがペプシコーラの社長だったジョン・スカリーをアップル社長に招聘した際の有名な口説き文句だ。PC(パーソナル・コンピューター)を世に出したアップルは、その後、まさに世界を変えてきた。

PCやスマホでICT(情報通信技術)革命を起こしたアップルに対し、ユーグレナが革命を起こそうとするのは食料と燃料の分野だ。両分野の"革命の素(もと)"となるのがミドリムシ(学名はユーグレナ)。植物でありながら動物の側面もある藻の一種・ミドリムシは、豊富な栄養素を持ち、バイオ燃料としても有望だと以前から分かっていた。二酸化炭素を吸収する光合成により成長することから、低炭素社会化にも寄与する。しかし、量産(屋外大量培養)するのが至難の業であったため、これまで商品として一般に出回ることはなかった。

ユーグレナは至難の業を世界で初めて成し遂げた。そこには「1%でも可能性があればチャレンジする。5回目には1%が4.9%に高まり、50回で40%、100回で63%、そして459回目には99%の成功率になるのだから」(出雲充社長)との執念があった。執念の源は、バングラデシュを訪れた東大の学生時代にさかのぼる。栄養失調とくに低タンパクから腹水がたまり、お腹が膨らんだ多くの子供たちを目の当たりにした。何とかならないものか。その強い思いが、栄養失調対策として効果的なミドリムシの量産化に結びついた。

現在、ユーグレナが「当社の一丁目一番地」(同)として開発に力を入れるのがミドリムシを航空機の燃料として活用する技術だ。5年後の技術確立を目指している。東大卒業後、メガバンクに務め、25歳で起業に踏み切った出雲社長。この星が抱える栄養、環境、エネルギーの3大問題を一挙に解決しようとしている。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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