(株)藤原電子工業
■「よそとは違う製品づくり」
業種:プリント基板加工
(株)藤原電子工業
電子部品を固定するプリント基板は、自動車や精密機械などに搭載されることが多くなり精密化・高性能化へのニーズが高まる一方だ。プレス機械と金型を使って打ち抜くプリント基板加工もこれに伴い、独自の技術を駆使し他社の優位に立てる仕事をしなければ置いてきぼりを食いかねない。
プリント基板加工を手掛ける(株)藤原電子工業(大阪府八尾市)は技術に独自の工夫を凝らし、よそとは違う製品づくりに励んだ。プリント基板は一般的に、ガラス繊維をエポキシなどの樹脂で固めてあるため、打ち抜くと断面が割れるとか細かいホコリが出てしまう。金型の形状やプレス機械の使い方を工夫して高品質の加工法を編み出すのが得意な同社は、ホコリが混入しても打痕が残らないといった加工法を開発した。
一例をあげると、自動車の盗難防止用電子キー「イモビライザー」に使う基板の加工。当初、ホコリの混入で打痕が発生し、メーカーが要求する「不良率3%以下」を満たせないことがあった。藤原義春社長は金型に、ある工夫を施しホコリが混入しても打痕が残らない加工法を編み出した。金型の工夫やプレス方法はもちろんマル秘、顧客にも非公開だ。
その結果、不良率は要求された10分の1以下の0.3%まで劇的に向上、同加工のシェアを「ほぼ独占している」(同社長)までになった。さらにプレス加工で不可避と言われる断面のバリが出ないような加工法も5年ほどをかけて平成18年に確立した。翌年には外注先の金型職人を社員として迎え入れ、自社で金型の製造とメンテナンスも始めた。
現在のプリント基板の需要の中心は台湾、韓国、中国にあることを背景に、平成22年には台湾工場を新設した。将来は国内で金型を設計・製造し、台湾で加工するという分業も視野に入れる。とはいえ国内の基板業界は縮小傾向にあるため将来を見越して、ロボット・産業機械開発の事業化にも動き出した。10〜20年後には「脱下請け」が実現しているかもしれない。中長期的な布石を打つことも、卓越した中小企業経営者の条件なのであろう。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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