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2007年の記事

 

 

 

株式会社ファインデバイス

 

■コア技術は業容拡大の最大の武器

業種:レーザー加工技術、光学技術、移動技術
株式会社ファインデバイス


「よそから真似されない技術を持ち、販売がうまくいけば企業は強くなる」。モノづくりセミナーなどに顔を出すと講師は必ずと言って良いほどこうしたことをいう。「経営のコアになる技術を持とう」というわけだ。当然のことだが中小企業が「真似の出来ない技術」を自分のものにするのは大変だ。ところが株式会社ファインデバイス(福井市)はコア技術を3つも持っている。講師の言から考えれば「鬼に金棒」である。

同社はレーザー加工技術と光学技術、移動技術をコア技術としている。これらの技術を顧客ニーズに合わせ融合し、最適なシステムとして提案、製品化している。レーザー樹脂溶接機の草分け的な企業である。レーザーは微細な物質であっても安全・確実に加工できるという特性を持っており、簡単に溶かす、精密に切る、微細に砕く、高速に穴を開けるなどが可能なキーテクノロジーだ。

同社はこの溶かすという特性に着目、樹脂溶着マシンを開発した。しかし加工する物質にマッチした最適な溶着を見つけだすために試行錯誤と基礎実験の連続だったことは言うまでもない。その結果の積み上げをもとに、レーザーの最適な選択やレーザー出力制御のノウハウを見つけだした。樹脂は性状や特性が様々であり、試行錯誤が無かったら溶着のためのノウハウは積み上げられなかったともいえる。このノウハウがレーザー樹脂溶接機を生み、樹脂製自動車部品の接合や医療用カテーテル管の結合などが実現した。

レーザー加工技術に加え、センサーやCCDカメラなどを用いた光学技術、エアベアリングを用いたリニアモーション技術(移動技術)も試行錯誤の中からモノにした。これらが相まって顧客ニーズにマッチした様々なナノ加工用マシンができたのである。毛利元就の「3本の矢」の説話ではないが、同社は3つのコア技術が「お互いが助け合い、あるいは融合しながら経営を強くしている」といえる。

コア技術を持つことで、他の業界や企業から注目され、新たな開発や提携の案件が持ち込まれるようになる。同社の場合もレーザー技術が着目され、個体レーザーによる遠隔切断技術開発案件が持ち込まれた。そこでそれぞれ得意分野を持つ福井周辺の企業や福井県工業技術センターと連携をした。レーザー技術というコア技術を持っていればこそ、次々にネットワークの輪が広がっていく。そして、このネットワークが新たな連携につながる。企業が強くなる原点を見る思いだ。                             


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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