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(株)FOMM

■「独創のコンパクトEVで、アジア市場を開拓」

業種:電気自動車の開発製造
(株)FOMM

電気自動車(EV)の開発・生産に、多くのベンチャー企業が名乗りを上げている。ガソリン車と比べ、部品点数が3分の1以下で済むなど、つくりやすく、また、個性豊かな車を生み出せるEVは、“ベンチャー向き製品”ともいえ、そうしたEVとベンチャーの親和性の高さ、相性の良さが、多数のEVベンチャー輩出につながっている。そんなEVベンチャーの1社、FOMM(川崎市、鶴巻日出夫社長)は、長年、自動車メーカーでEVなどの開発に携わった技術者が「EVが売れない理由をすべて把握、売れない理由を取り除いたコンパクトEVを世に出す」(鶴巻社長)と、立ち上げた。

FOMMの設立は、平成25年(2013年)2月。それまで、数社の自動車メーカーでEVやスクーター、モトクロッサーの企画・開発・設計に携わってきた鶴巻社長が、経験を生かし、新コンセプトのコンパクトEVを製品化しようと起業した。新コンセプトのキモは「自動車でもない、オートバイでもない、その中間に位置する乗り物」。社名のFOMMは、First One Mile Mobilityの略で、ワンマイル=1・6キロメートルが象徴する近距離移動用としての需要喚起に照準を合わせた。

長年にわたってEV、とくに小型・超小型EVの開発に取り組んだ鶴巻社長は、なぜ、超小型EVが売れないかを掘り下げて、売れない要因を1〜2人乗り、ドアがない、エアコンがない、などと見定めた。それらを踏まえて、昨年、スライドドア・エアコン付きの「世界最小クラス4人乗りEV」を発表した。現在、平成29年(2017年)からの量産開始に向けたプロトタイプづくりに励んでいる。

同社ではまず、東南アジア市場を開拓する戦略を描いている。その一環として、タイ政府と良好な関係を築き、タイで量産する計画を練り上げている。車両の部品点数は、ガソリン車が3万点以上なのに対して、わずか1500点、組み立ては8工程で完了する予定としている。また、水害が多発する地域性を考慮し、「スワンボートの感覚で水に浮く」(鶴巻社長)という水陸両用仕立てのEVとした。

足を使わずにすべてを手で操作する新操作系、リース方式の進化形となるバッテリー交換システムをはじめ、斬新なアイデアをふんだんに盛り込むのも、同社製EVの大きな特徴だ。「タイ政府のサポートがあってここまで来た。日本だけで進めていたら、実現できなかった。グローバルの時代、やればできる、想わなければ何事も実現しない」と熱く語る鶴巻社長は、コンパクトEVの延長線上に、究極の乗り物“魔法のじゅうたん”も想い描いている。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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