ホリカフーズ(株)
■「非常時の食の開発に挑む」
業種:非常食メーカー
ホリカフーズ(株)
「ライフラインの寸断した被災地でも、いつもと同じに温かくて美味しい食事」をコンセプトに被災者にやさしい非常食を開発、提供し、平成16年と平成19年の2度の新潟県中越地震と中越沖地震、昨年の東日本大震災で非常食メーカーとして真価を発揮した企業がある。
ホリカフーズ(株)(新潟県魚沼市:川井義博社長)は昭和30年、地場の組合事業を引き継いで食肉缶詰・加工品メーカーとして発足した。当時、食肉加工品は貴重で、事業は順調に拡大。しかし、平成3年の牛肉の輸入自由化を境に生肉の需要が増大し、生産縮小を余儀なくされる。常温製品の新たな商品を模索する中で思い当たったのが、災害時の非常食であった。
被災時の食事について、平成7年の阪神・淡路大震災の復旧活動従事者や被災者を対象に調査を実施、商品化したのが、"ごはん"と"おかず"に、発熱セットを同梱した「レスキューフーズ」である。いつでもどこでも簡単に温められる非常食は、メニューも豊富で、まさに被災地が待っていたものだった。アウトドアや普段の予備食として手軽に美味しく食べられるのもうれしい。
同社が食品加工の新分野に参入したのは昭和47年。大学病院の依頼により、国内特許第1号の天然食品の経管流動食品を開発したのを始まりとする。以降、治療食や介護食の研究開発を行い、多くの製品をラインナップ。高齢化社会へのシフトとともに需要が増大している。また、別会社を設立し、食品と同じ原料から作った「安心・安全な食品会社のペットフード」(川井社長)は、ペットの家族化により飼い主の心をしっかりと掴んだ。
「いざという時にホリカフーズがあって良かった」と言われることが、川井社長の食品開発の一貫した思いである。根底にあるのは、人への配慮と優しさ。相手の状況や環境を思いやり、培った自社ノウハウを最大限に活用して製品開発を行う。結果、期せずして時代のニーズを先取りする商品が世に送り出されることになる。"必要とされるモノ"づくりの原点はここにある。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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