(株)フロント研究所
■「不可能を可能にする」
業種:瞬間接着剤メーカー
(株)フロント研究所
目に見えないが「陰」で役に立っている「接着剤」。自動車、家電、建材など様々な業種に使われている。しかし、大手メーカーの間で、接着が難しい素材の「接合」という技術に困っていることを知り、新しい接着剤の開発に乗り出した。「当時、接着剤を真に大事だと思っている人は少なく、そこに私は商機を見つけた」。
こう振り返るのは(株)フロント研究所(大阪府東大阪市)の吉川進一社長。17年前、瞬間接着剤メーカーとして会社を立ち上げ、当時不可能だったウレタン接合技術を開発した。それ以来、ポリプロピレン(PP)や熱可塑性エラストマー(TPO)といった、従来の接着剤では接合が困難とか、不可能といわれていた素材を簡単に接合できる接着剤を次々に開発していった。
現在、成形時の熱を利用して樹脂同士の成形接着を行う成形用接着剤や表面処理を施さなくてもPPなどへの塗装・印刷が簡単にできる塗料・インク改質剤を開発、さらに用途開発を積極的に進めている。省エネやリサイクル性にも結びつくため大手企業が連日のように同社を訪問、大手自動車・家電メーカーなど約40社が取引相手に名を連ねる。
なぜ魅力があるのか。接合ができなかったら穴開け加工してネジで締めるなど労力、時間、固定費がかさみ、工程短縮、軽量化、コストダウンという流れに逆行するためだ。リサイクルも容易であり「これらすべてが弊社の接着剤でクリアできる」。だから「これをうまく活用すれば世界に勝てる企業になる」と語る。
開発の成功の秘訣を吉川社長は「意外性だ」と表現する。この意味は「他の接着剤メーカーは本に載っていないことは大体試さない。私はその逆で、本に載っている以外のことしか試さない」のだという。本来は技術者ではなく「考えるより行動するタイプ」と自らを称する。だが誰よりもこの分野では先を見ている、と周囲は評する。
中小機構近畿支部が運営する「クリエイション・コア東大阪」内の拠点で午前9時〜午後5時の勤務時間を励行、終業後まっすぐ帰宅する生活を創業以来続ける「シンプルライフ」を実践中だ。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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