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2010年の記事

 

 

 

冨士製作所

■トップの座を保つ即席麺プラントのパイオニア

業種:即席麺製造プラントシステムメーカー
冨士製作所

ニッポン生まれの即席麺は今世界中で消費されている。お湯をかけるだけで美味しい麺が味わえるというのは、「質素で手軽」という伝統的な日本の食文化の一面だけでなく、外国の合理性を併せ持つ食品だとも言える。中国、インドネシア、韓国などのアジアをはじめ欧米などにも普及しており、年間消費量は900億食にも上るという。

この新しい食文化の創造に貢献しているのが、群馬県藤岡市に本社を置く冨士製作所(櫻澤初雄社長)。即席麺製造プラントシステムのトップメーカーとして国内の業界だけでなく、海外にもその名をとどろかせている。同社は、1946年に工場の自動化機器や配電箱を製作する櫻澤製作所の社名で、父親の櫻澤志磨雄氏が創業し、64年に現社名になった。

同社の転機となったのが、志磨雄氏の戦友が作っていた即席ラーメンとの出会いだったという。63年に開発した即席麺用オートフライヤーを皮切りに、71年には現在の原型となる一貫製造ラインを完成させた。麺練りから油揚げ・乾燥までの製造工程を組み合わせて一つのラインに乗せ、効率化したのである。

それ以来、自社内の技術革新はとどまることを知らず、世界各地に同社のプラントが輸出されることになる。櫻澤社長の信念である「固定観念にとらわれず高効率化、省人化を進めている」ことが、先進的な製造プラントを生み続けている源と言える。麺を揚げずに熱風で乾燥させる高速・高温乾燥機や蒸気を効率的に利用し、それまで22メートルだった製造ラインの長さを7メートルに短縮するといった革新的な技術を次から次へと生み出している。

現在では資材供給を除き、全工程を無人化した製造プラントが世界各地に輸出されている。輸出の増加に合わせて納入地・国の文化や衛生基準などをクリアしたプラントも考え出され、国際化にも万全の体制で臨んでいる。かつては値段の安い模造品に悩まされたこともあったが、現在は他メーカーの追随を許さない技術水準に到達、国内外合わせて50%のシェアと揺るぎないトップの座を確保している。また即席麺だけでなく他の食品への広がりも期待され、食品プラント業界の頂点に立つことが最大の目標だ。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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