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2012年の記事

 

 

 

(株)藤木伝四郎商店

■「樺(かば)加工品を海外にも」

業種:伝統工芸品「樺加工」製造
(株)藤木伝四郎商店


山桜の樹皮を使い、独特の技法で磨き上げた伝統工芸品「樺加工」の、わが国唯一の産地、秋田県仙北市角館町。「みちのくの小京都」ともいわれるこの地に、(株)藤木伝四郎商店が創業したのは江戸時代末期、現社長の藤木浩一氏で6代目になる。

樺細工の茶筒は「型もの」と呼ばれる技法により、吸い付くようにぴったり閉まる。本体、外ぶた、内ぶた、すべてのパーツを一つの木型に貼り重ねて作るためだ。接着剤は天然の動物の骨や皮から作る「にかわ」を使う。薄くて強い桜皮の特性を生かし、使えば使うほど飴色に変化して美しい光沢が出る。同社は創業以来、地元の職人の手による製品を販売してきた。しかし近年、不況の影響などで需要が減少傾向にあり、「これをどうにか打破したい」と考えた。

藤木社長は東京の大手百貨店に3年半勤めた後、故郷に戻り、先行きを考えてみた。「やはりこのままだと売り上げは下がるだろう。新製品、新しい販売チャネル、国内外の新市場開拓が必要だ」。その時、思い当たったのは「海外の売り上げは為替が円高になろうと円安になろうと変わらなかった」という事実。

そこで30~40代女性をターゲットにした新製品を中小機構東北本部や外部のデザイナーの支援を受けて開発。山桜の樹皮のほかカエデやクルミなど色合いの異なる素材を組み合わせた、これまでにないモダンなデザインの「輪筒 茶筒」がそれである。これが国内はもとより海外での評判が高まり引き合いが殺到している。

同社は国内のセレクトショップ、インテリアショップ、デザインショップなどの新たな販売チャネルを開拓するとともに、「海外にも本格チャレンジする」考え。これまで実績を積み重ねてきた欧州などのほか米国でも本腰を入れて取り組む。さらに「角館 伝四郎」のブランド確立を進め、ロゴを名刺、封筒などのほか、「いずれは包装紙など末端に至るまで統一したい」という。わが国の貴重な伝統工芸品のさらなる普及に期待したい。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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