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2011年の記事

 

 

 

株式会社深井製作所

■「技術提案型で可能性さらに広がる」

業種:車体プレスメーカー
株式会社深井製作所

中小企業といえども従業員の年齢構成に大きなばらつきがあると、活性化につながりにくい。とりわけ技術で勝負する中小製造業となると、技術伝承が滞り死活問題にもなりかねない。こんな中、多少苦しくとも技術者を定期的に採用し堅実な成長を遂げている企業が少なからずある。

車体プレスメーカーとして元気な経営を続ける深井製作所(栃木県足利市、深井孟社長)もそんな企業の一つ。同社の主力は自動車用のフロントフレームやラジコアなど重要骨格部品。生産設備に関しても大型プレス機など投資をきっちり行っている。国内自動車メーカーなどからの信頼と評価は定着しているといっていい。

かつてバブル崩壊後、経営が苦しい時期があった。それでも「技術者を採用しない年があると断層が生まれ、数年後に必要な人材がいなくなる」と同社長は頑張って採用した。その時の人材が今中堅となり、若い技術者を引っ張る。同社の持ち味は何といっても「技術力」。従業員の約20%が工学部系の人材で占めるという技術主導の経営を進める。

強みである技術を生かして15年ほど前から「技術提案型」企業に軸足を移した。自動車の軽量化に寄与する「エンボス成形技術」を開発、提案したのもその成果の一つ。正六角形を隙間なく配列してあるアルミニウムや鉄板。一見すると、まるで蜂の巣の模様をした意匠品のように見える。これが今、自動車メーカーだけでなく電機メーカーなど多くの関係者の注目を集める技術だ。

例えば板圧0.5ミリメートルのアルミ板の剛性を100とすると、エンボス成形を施せば0.35ミリメートルに薄くしても剛性は97とほぼ同等。この結果約30%軽量化できる。「自動車以外の業界からの引き合いの方が多い」と同社長は苦笑いするが、様々な可能性を秘めた技術。こうした成果を生み出す根本は、技術者に断層を生まない、手厚い人材育成・採用戦略と前向きな投資にある。「生き残りのカギは技術」(同社長)の現在、「2次部品メーカー」として確かな道を歩む。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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