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(株)五合

■「塗料とクレーン操作の異分野で輝くベンチャー企業」

業種:塗料とクレーン操作装置を開発・販売
(株)五合


大きく異なる二つの分野の事業を同時並行で進めて、どちらも絶好調というベンチャー企業がある。塗料とクレーン操作装置を開発・販売する五合(愛知県春日井市)がそれ。塗料は国内大手電機メーカーの洗濯機に採用されトン単位で注文が舞い込むようになった。クレーン操作装置は、現在、多方面から引き合いが寄せられ、ゆくゆくは世界標準になるとの期待も高まっている。

五合は小川宏二社長が平成15年に立ち上げたベンチャー企業。小川社長は電気制御関連の会社に勤め、独立し技術コンサルタントとして活躍したのち起業した。起業の年に、コンサル先だった塗装会社の製品を引き継ぎ、改良を加えた「完全無機塗料」を発売し、その一方で、人材派遣業も始めた。平成22年、派遣社員がクレーン作業で難儀したのがきっかけとなり「直感型天井クレーンコントローラ」を製品化。以後、塗料とコントローラの"双発エンジン"
による事業展開を図って、今日に至る。

「ものづくりは命を懸けるに値するもの」。開発や製造に対する熱い思いをそう語る小川社長は、いくつもの特許を持つ、技術にめっぽう強い経営者。その情熱と見識が生みだした完全無機塗料は、表面保護性に優れ、汚れ落としが簡単などの特徴から、洋食器、レストラン厨房、カーブミラーをはじめ、さまざまな領域で使われている。国産洗濯機の洗濯槽防汚コートの事例では、製品カタログ等に五合の社名や商標が記載され、大きな宣伝効果をもたらしている。目下、中国や韓国の世界的な電機メーカーとの商談も進行中という。

"現場ニーズ"から誕生したクレーンコントローラは、従来の他社製品が東西南北の四つのボタン操作が必要なため誤作動のリスクが高かったのに対し、走行ボタンを一つとすることで誤作動の懸念を払拭して操作性、安全性を大幅に高めた。中小企業優秀新技術・新製品賞(りそな中小企業振興財団など主催)をはじめとする数々の受賞が同コントローラの筋の良さを物語る。東西南北方式は世界共通で、各国に改善要求があるため、世界の実質標準として普及することも夢ではない。「ハードを売るのではなくクレーンの安全を売る」(小川社長)という同製品は、海外を意識してか「ZEN(禅)」と名付けられている。

五合は五合目に通じ「いつになっても道半ばの思いが大切だと考えて社名に採用した。もっとも、今は0・5合目しか進んでいないが…」(同)。そんな五合は現在、社員が10人ほど、売り上げは数億円の規模ながら、強力な双発エンジンがフルスロットル状態になると、一体どこまで成長するのか…。可能性は無限大のようにも思えてくる。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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