東京総研トップへ

元気な企業(最新)

 

 

 

(株)日本商業不動産保証

■「保証金半額で不動産賃貸に革新を起こす」

業種:不動産物件の保証に関する事業
(株)日本商業不動産保証


「世界の常識が日本の非常識。そこにチャンスがあるとみた」。日本商業不動産保証(東京都港区)の豊岡順也社長は、創業の動機をそう説明する。同社は平成23年9月に発足した社歴3年余のベンチャー企業。古色蒼然たる社名が示す通り、不動産物件の保証に関する事業を主力業務としている。ただ、その中身は斬新かつユニークで、社名が醸し出すイメージとは対極の「イノベーション」を不動産賃貸の世界に巻き起こしている。

「保証金半額くん」サービスと名付けた同社の主力事業は、その名の通り、事務所や店舗を借りる際の保証金や敷金を、相場の半分にすることで、ビルオーナー、テナント、同社の"三方良し"を実現するもの。通常、月額賃料の10~12カ月分とされる保証金、敷金を5、6カ月分として、差額は同社が保証し、テナントから月額賃料の0.25カ月相当の年間保証委託料を得るのが基本スキームとなる。

豊岡社長は「テナント企業の財務分析などの審査能力が重要なポイント」と説明する。ビルオーナーは審査能力に乏しく、テナントはできることなら保証金を積みたくない。両者の間に立って橋渡しをすることで、テナント側には、初期コストが低減し資金の有効活用が図れる、オーナー側には、テナントが集めやすくなりテナント選別に関わる労力が不要になる、とのメリットを供与。
そのうえで、自らも利益を得る三方一両得の新たなビジネスモデルを確立した。

豊岡社長は以前、コンサル業務に携わっていた時、巨額の保証金を積んでいる米国資本の大手チェーン店から保証金の件で相談を受ける。その際、日本の保証金制度は、借地借家法のため、オーナーがテナントに即時退去を迫れないのを補う制度で、世界の常識とかけ離れていると見極めたのが創業の原点となる。国内の保証金・敷金の合計が30兆円規模に達し、マーケットは小さくないと見通せたのも起業に踏み切る大きな要因となった。現在、半額くんサービスを利用するテナントとしては、ITベンチャーなどが強い関心を示し、実際、「ベンチャー系企業の利用実績が順調に伸びている」(豊岡社長)という。

事業エリアとしては、これまでの首都圏中心から、地方都市への進出に意欲をみせている。グローバル創業・雇用創出特区となった福岡市での取り組みがその代表例。同市の不動産会社やインキュベーター・起業支援会社と提携し、半額くんサービスやベンチャー支援事業を矢継ぎ早に打ち出している。長年の商慣行に一大変革をもたらす同社事業は、イノベーションそのもので、昭和の香りが色濃い社名が妙に新鮮なものとも思えてくる。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


著作者の承諾を得て掲載しています。無断転載ご遠慮願います。

 

▲ TOP

2015年の記事に戻る