東京総研トップへ

元気な企業(最新)

 

 

 

(有)原製作所

■「出張3次元測定サービスで潜在ニーズを顕在化」

業種:出張測定サービス
(有)原製作所


どこかのテレビ局の「出張鑑定」ではないが、世は出張はやり。多種多様な出張サービスが全国津々浦々で行われている。原製作所(長野県上田市、原洋介社長)が手掛けるのは「出張3次元測定サービス」。ユーザーの依頼に応じて、機材とともに専門スタッフが全国各地を訪問し、大型重量物などをオンサイトで計測する。計測対象物は重機、航空機・船舶、自動車・機械部品、各種金型から、遺跡出土品などの文化財、昆虫の剥製まで多彩。モノづくり支援につながるニューサービスへの関心は高まる一方だ。

同社では独GOM社製の非接触光学式3次元デジタイザー、3次元位置測定システムをはじめとする各種計測機器をそろえて、利用シーンに応じて適切な機器を選択し、専門スタッフが出張計測を実施している。「紙以外、立体のモノなら何でも測れる」(原社長)という幅広さが受けて、宣伝活動をほとんど行わない中で、計測依頼が次々と舞い込んでいる。計測したいモノはあるが、高価な計測機器の購入には踏み切れないといった潜在ユーザーのニーズを顕在化させた格好だ。

もともとCADの技術者であった原社長は「デジタルとアナログの隔たりに悩まされて、隔たりを埋める手立てとして計測サービスを思い付いた」と振り返る。CADで製品化するまでのデジタルの世界が、実物が出来上がるとアナログワールドに移行し、データのサイクルが途切れ、検査、品質管理、設計へのフィードバックなどさまざまな面で不具合、不都合が生じる。そうした現実をCAD技術者として身をもって知ったことから、「前例のない仕事」(同)となる測定サービスを平成20年に立ち上げる。

原製作所は、原社長の祖父が昭和32年(1957年)に設立し、以後、機械加工、治工具製造などに取り組んできている。現在は、創業時からの製造グループの売上比率は40%で、新規事業となる3次元測定グループの比率が60%と過半を占める。3次元測定のうち、小物類はユーザーから送ってもらい同社で受託測定している。測定グループ内の比率は受託が70%、出張が30%だという。

創業者である祖父は、中国大陸で新聞記者をし、帰国後、日本初のインスタントおしるこを商品化したという進取の気性に富んだ人。3代目の現社長にそのDNAが受け継がれ、本邦初の測定サービスが生まれた。モノづくりの周辺事業と位置付けられるこのサービスには、"モノづくり2.0"への道筋を模索する我が国製造業、とくに中小製造業に役立つヒントがぎっしり詰まっている。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


著作者の承諾を得て掲載しています。無断転載ご遠慮願います。

 

▲ TOP

2015年の記事に戻る