北星鉛筆(株)
■本業の販路を生かして新商品開発!
業種:鉛筆製造
北星鉛筆(株)
企業は、日夜、ヒット商品を目指して新商品の開発にしのぎを削っている。新商品の開発にあたり、試行錯誤の末、「50年の本業の歴史で築いた販路を何とか生かせないか、との発想で遂にヒット商品を呼び込んだ」と語るのは、鉛筆の「おがくず」を再利用し、新しい粘土「もくねんさん」を開発、見事にヒットさせた「北星鉛筆(株)」(東京都葛飾区、従業員28名)の杉谷社長。
同社は、1951年の創業以来、鉛筆製造一筋、年間売上高5億円の鉛筆メーカーである。「鉛筆は、我が身を削って人の為になり、真中に芯の通った人間形成にも役に立つ立派な職業。故に鉛筆のある限り家業として続ける」との精神で会社経営にあたってきたという。
とは言え、少子化の進展で主要市場だった小学生の数が減少。更に、中国などの追い上げもあり、縮小する市場、厳しい国際環境の中で、各社とも懸命に生き残り策を探っていた。新商品開発に渾身の力を注いだのも当然の流れであった。
「鉛筆製造の過程で生まれるおがくずを何かに利用出来ないか」。同社が先ず取り組んだのが「薪(まき)」の開発だった。燃料効率も良く、キャンプ場へのテスト納入も好評だった。しかし、価格面で太刀打ちが出来ず、新事業は頓挫。この痛い体験から杉谷社長は「鉛筆と同じ流通ルートで販売できる新製品を開発しよう」と決断。販路を生かせば、問屋等の応援も期待出来たからで
ある。こうして2001年、ヒット商品の木製教材用粘土「もくねんさん」は生まれた。
「もくねんさん」は、おがくず粉末に水と接着剤を混ぜて粘土状に加工したもので、接着剤には、子供が口に入れても害の無い食品添加物を使用した。従来の土や紙製の粘土とは異なり、乾燥後は木と同様に削ることが出来、穴開け、接着も可能だった。小学校の授業でも採用されるようになり、定番商品へと成長した。「燃えるゴミ」として捨てられる点も追い風になった。
更なる新商品を生めないか。今回の成功で同社の開発意欲は更に高まっている。「もくねんさん」に顔料を加え、新しい絵の具の開発にもチャレンジ中だという。まさに「足元を掘れ!そこに泉が湧く」である。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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