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2010年の記事

 

 

 

株式会社細田

■コア技術は「宝の技術」の可能性秘める

業種:重量センサー製造
株式会社細田

コアの技術を持ちながら用途開拓が出来ない中小企業は意外に多い。その技術に固執するあまり周囲の状況が見えず、新たなステップに踏み出せないままだったり、コア技術に甘んじ、さらなる技術開発は無理だと諦めてしまったり、全く異なった分野への発想に至らなかったりと様々な理由が考えられる。さらに、開発しても売り方、売り先が分からないため、世の中に認知されない製品も多い。

株式会社細田(山梨県北杜市)は重量センサーというコア技術を有効に活用しながら、時代のニーズにマッチした用途開発を進めている。防犯用として開発した静電容量重量センサーは、不審者が敷地内に侵入した場合、重量の変化を感知し、警察やセキュリティー会社に知らせたり、自動で録画したりするものだ。センシングから通報までシステム化することで、センサーの持つ機能を最大限に発揮できるのが特徴だ。

このセンサー技術と通報技術を活用して、介護ベッド用の通報システムを商品化した。認知症などの人が深夜、ベッドを離れたり、ベッドから落下した場合など、重量センサーが働き、ナースステーションに異常を知らせるもので、関東圏の特別養護老人ホームに売り込み、採用されている。同じ原理により車いすから乗っている人が落下した場合、介護者に異常を知らせるシステムも実用化した。

従来の重量センサーだと、体重を移動させたり、寝返りを打った時にもセンサーが感知し「人がいない」と認識するケースが多く、介護している人たちは気が休まる時がなかったという。これに対し、同社のセンサーはベッドに負荷がかかると、内部の誘電体の静電容量が変化する静電容量式のため、負荷がゼロにならない限りセンサーは反応しないように工夫されている。また誤動作の原因になるノイズに対しても強いという。

コア技術を生かし、市場ニーズにマッチした製品を開発できれば、売り方次第で企業は発展することが可能だろう。同社では「劇場で空いているいすを自動表示したり、盗みに入ったトラックの重量を検出するなど、さまざまな応用が考えられる」(細田哲郎社長)と用途開発に力を入れている。重量センサー一つとってもこのように様々な用途が考えられる。コア技術は「宝の技術」になる可能性を秘めている。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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