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2006年の記事

 

 

 

 

フルウチ化学株式会社

 

■専業の本領を磨いて、大手に伍する新素材メーカー
業種:新素材開発
フルウチ化学株式会社


新素材の分野は技術革新の奔流にある。すさまじい競争の世界だから、生半可な取り組みでは生き残れない。社歴30年余のフルウチ化学株式会社(東京都品川区、古内明夫社長)は材料開発一筋の製品づくりに徹し、「モットーはこの世に存在しない新素材を創ること」と言い切る。そこには、ズバリ、技術を深掘りする専業メーカーの強さが窺える。

同社は1973年の創業から今日まで、一貫して研究開発型経営に徹している。対象も新素材に関わる材料が主体である。創業早々から産学連携を進めて、表面処理に利用する薄膜材料を開発したのが第1号。この自社製品が公害対策に有効なメッキ代替材料として脚光を浴び、事業基盤を築いた。超電導材料がブームになった80年代に開発キットを発売。これもヒット製品となった。この勢いに乗って、半導体材料、光ファイバー材料、真空蒸着材料、セラミックス材料、光学材料と矢継ぎ早に世に送り出した。多くの企業が激しい競争を展開する中で、中小企業の域を超える技術力を示し、業界屈指に数えられる新素材メーカーにのし上がってきた。

「世に存在しない新素材を創る」という戦略は、大手企業の研究所や大学など基礎研究を手掛ける研究機関と共同で開発を進める点に特徴がある。多品種少量生産となるが、絶えず新しい開発テーマに取り組み、初期段階から製品開発に関わって実用化するという独特のビジネスモデルを構築している。最近では、M&A(企業の合併・買収)で大手製薬の酸化物結晶事業を買収したり、物資・材料研究機構と共同で“未来のばんそうこう”と言われる生体用接着剤を開発して医療分野にも進出した。さらに、今年からは光通信用半導体レーザーの開発に着手するなど、技術領域を拡大して、新たな事業展開期に入った。

新素材分野は技術開発に限りはない。大手に伍して存在感を示すために、「最先端の技術を担う努力を買って出る」と古内社長は力を入れる。社運をかけたその意気込みこそ、難題の未開技術をブレークする専業メーカーの本領だ。         


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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