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(株)アイスジャパン

■「北海道発で全国区企業に成長」

業種:保冷剤製造
(株)アイスジャパン


「保冷剤」は、ひと昔前のイメージとは様相を一変させている。今や、生鮮食品の宅配から医薬品・半導体電子部品の輸送まで想像以上に広範な用途に使われる。これを手掛ける企業は当初から保冷剤の需要増を約束されていたわけではない。客層により異なる温度領域への対応といった高い技術を生み出し、需要を自ら創り出す努力の賜物である。

製氷業者として昭和56年にスタートした(株)アイスジャパン(北海道室蘭市、松岡正昭社長)は、全盛期には地元周辺に600件ほどの顧客を抱えていた。だが、安価な小型製氷機の登場で製氷業が衰退する気配を感じ、平成2年に保冷剤の製造に乗り出した。対応できる温度領域は当初、0℃だけだった。これでは顧客の多様なニーズにはこたえられない。

この限界を打ち破ったのは平成20年のSTS研究所(山梨県富士吉田市)との技術提携と自己革新努力。温度領域が何とマイナス50℃〜プラス50℃まで拡大した。「顧客の要求に応じて一定温度を必要な時間、維持する製品を提供できるようになった」(同社長)。これは「保冷」の枠を超える成果。同社の「蓄熱剤プラス温度タイプ」はプラス2℃〜50℃で、用途に応じ2℃刻みで選べる蓄熱剤だ。

工場は地元室蘭市の本社のほか宮城、千葉県、京都府など5カ所にあり、「北海道発全国区」を実現。事業を製氷から保冷剤に転換し今も躍進中だが、「3〜5年先を見据えて新製品開発をしないと企業は立ち行かなくなる」「現状維持を図るのは衰退の始まり」が持論の松岡社長は、次の展開を頭に描き実践しようとしている。

ターゲットは過去の事業転換に次ぐ大きな挑戦ともいえる海外展開。保温製品も投入しているとはいえ主力は保冷剤。その保冷剤の需要は夏が中心だ。季節間格差をなくし工場稼働率を上げるうえでも豪州など南半球の需要を開拓したいという。むろんアジア各国への輸出も視野に入れる。事業環境の変化への抜群の対応力を発揮してきた松岡社長の次の一手が待たれる。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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