東京総研トップへ

元気な企業(最新)

2011年の記事

 

 

 

池田設計・企画

■「退職後の開発は異色のオリジナル商品に」

業種:設計事務所
池田設計・企画

大手電機メーカーで商品設計一筋に歩んできた技術者が退職後、自宅を拠点に設計事務所を立ち上げた。ここまではよくある話だが、特筆すべきは異色のオリジナル商品を開発、販売したこと。その商品とは、誰しもが一度は「しまった」と思わず声をあげたり、「○○さん、雨よ!」というお隣さんの声掛けの経験を持つ洗濯用物干しに関するものだ。

午前中は晴れていたのに午後になって突然雨が降り出し洗濯物が濡れてしまう。あるいは花粉や黄砂、鳥の糞などに洗濯物が汚されるなど、物干しにまつわることで意外に困っている人が多い。池田設計・企画(福岡県筑紫野市)の池田孝治代表は「退職後、自宅で実際に妻が困惑しているのを経験したため、本業の設計の仕事とは別に雨などから洗濯物を守る商品を手掛けようと決心した」。平成13年秋のこと。

そこで以前から温めていた「あらかじめ洗濯物に被せて洗濯物が濡れず、なおかつ洗濯物が蒸れずに乾くカバーシートができないか」(同)というテーマに挑んだ。まず素材の選定で試行錯誤を繰り返した。「防水性と透湿性を併せ持つ」最適な素材を探し求めて、何度も洗濯物の渇き試験を繰り返し材料の絞り込みを行った。

カバーの固定の仕方についてもマジックテープ、ファスナーなど色々と検討した。その結果、急な雨への対応としては洗濯バサミが適していたので、カバーは素っぴんの1枚のシートにした。こうした検討の末に2009年2月、「マジカルカバー」(商品名)の発売にこぎ着けた。だが販売経験のない池田代表は考えた挙句、テレビなどマスコミで取り上げてもらうことを思いついた。

そこでせっせと手紙やハガキを出し、ついに同12月に東京のテレビ局が取り上げた。それ以降いろんなテレビ局が相次ぎ紹介、そのお陰で今や柱の商品に成長している。同社は今年3月、中小機構九州支部が運営するインキュベーション施設「クリエイション・コア福岡」に拠点を移した。そこで受託製品の設計と同時にマジカルカバーの用途開発などに取り組む毎日だ。「○○できればなあ…」と何気に思いつくことを商品化するには蓄積した技術者のノウハウ、勘それに持続力が必要だ。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


著作者の承諾を得て掲載しています。無断転載ご遠慮願います。

 

▲ TOP

2011年の記事に戻る