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2007年の記事

 

 

 

 

 

入江工研株式会社

 

■「小さな世界企業」

業種:金属製伸縮管(ベローズ)製造
入江工研株式会社


 「小さいが世界を目指す研究開発型企業、これが当社のアイデンティティーです」ときっぱりと話すのは、入江工研株式会社(東京都千代田区)の入江則裕社長。その言葉通り、創業来40年、電車用変圧器から始まり、いまや金属製伸縮管(ベローズ)を中心に、技術オリエンテッドな企業として、堅実に業績を伸ばしてきている。製品開発はいまや半導体、宇宙、原子力とハイテク諸分野にも大きく需要先を広げ、小さいが世界のどこにも負けないメーカーへの道を着実に歩んでいる。

則裕社長の厳父で同社の創業者である入江則公氏は創業時、社内にこう檄を飛ばして社員を奮い立たせた。「入江工研は近い将来必ず、その専門分野において世界の一流になってみせる。今日の我社はいまだ微力であり知名度も低い。すべてが今後に賭けられている。ただひとつ明白なのは我々が未来永劫に中途半端な成長に安住しないことだ。牛後か鶏口かの別は大きな問題ではない。第一人者になるか否かが最大の課題である。この一点に精神力を集中し、迷わず、あわてず、たゆまず生命を燃やし続けよう」。激しい気迫だ。国鉄の主任技師から転じて起業し、技術開発に並々ならない情熱を注いだ人でこその文言だ。いまや“社訓”のように、このスピリットは若い技術者たちに脈々と受け継がれている。

ベローズはもともと「ふいご」とか「蛇腹」とか訳される。金属の世界では、金属製の筒状のものにひだを設け、伸縮性・気密性・バネ性を持たせたものを「ベローズ」と呼ぶ。半導体、液晶、真空機器、加速器、核融合、原子力、石油化学、建築分野をはじめ、気体・流体の気密封止のシール部材に使われ、中でも大気と真空を遮断する搬送部のシール材として、また真空バブルや一般産業用バルブの「完全漏洩防止」シール材としても多く採用され、各分野でなくてはならない製品として用途を広げている。新たな課題も山積みだ。特殊な材質の要求や、ベローズ表面のクリーン度、大型化、長寿命など年々高度な仕様が求められており、技術開発陣の責務は重い。

需要増に歩調を合わせるように社会の評価も高まっていく。創業者の檄に応えるように、技術開発陣の踏ん張りで、2004年に「差圧キャンセル弁」が日本真空工業会会長賞を、2006年に「大型ゲートバルブ」が中小企業優秀新技術・新製品賞(りそな中小企業振興財団・日刊工業新聞社共催)と受賞が相次ぎ、世界を目指す研究開発型企業を手中に収めつつある。電車用変圧器部品からベローズ、バブルに主軸を移しながら、専門分野で第一人者たれとの創業精神がめらめらと燃え盛っている同社だ。 



著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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