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(有)イトートーヨーサービス

■「水を使った集じん機」

業種:自動車の買い取り・販売、鈑金塗装、修理
(有)イトートーヨーサービス


自動車鈑金塗装の技術者が仕事の合間に、水槽を泳ぐ金魚の動きにじっと目を凝らしていた。作業から発生する粉じんから体を守り環境の良好な工場にするにはどうしたらいいか、を考えていたこの技術者は、はっと思いついた。「水中の泡の中に粉じんを閉じ込め水に溶かせばいいのでは」と。その後このひらめきが同社の新製品として実を結ぶことになる。

自動車の買い取り・販売、鈑金塗装、修理を手掛ける(有)イトートーヨーサービス(島根県出雲市)の栂野(とがの)博社長は、鈑金塗装に伴う粉じんの人体に与える影響を「何とかしなければ」と長年、気にかけていた。このため河井真治・商品開発部鈑金・営業部長が苦心の挙句考案した「水を使った集じん機」を「よそにほとんどないもの。自社開発製品として広く普及させたい」と決心した。

なぜ「水」にこだわったのか。それは多くの作業現場で局所集じん装置として使われている「乾式」は、フィルタの目詰まりなどによる吸引力低下やメンテナンス作業時にエアフィルタと集じん袋を装置から取り外さねばならないなどから、「粉じんの飛散を防ぎにくい点があった」(同社長)からだという。

このため「飛散せず塵を空気中に出さないために水の中をくぐらせる方法を見出した」(河井部長)。この湿式集じん機は、塵が含まれる空気を吸引して水と接触させ、粉じんを浸水化、または含水化することで水タンク内底部に沈殿させる仕組み。集じん後は専用の凝集剤で粉じんを水と分離する。粉じんは固形化して一般産業廃棄物として処理が可能だ。

動力源は多くの工場にあるエアコンプレッサーの圧縮空気。モーターを搭載せず電気も不要だ。すでに大手建設機械メーカーに納入実績を持つ。一中小企業のプロパー技術者が生み出した、この湿式集じん機。「第8回しまね環境大賞」を受賞するなど評価は高い。今後の課題は、「同製品の良さを広く発信し、弊社の新規事業として早期に独り立ちさせること」(同社長)。同社の健闘に期待したい。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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