(株)いとめん本店
■「三重県産小麦で生パスタ」
業種:伊勢うどん、生パスタ製造
(株)いとめん本店
三重県伊勢地方に伝わる伊勢うどんにこだわり、古くからの麺を再現しようと麺の作り方に工夫を凝らしているのが製麺業の(株)いとめん本店(三重県四日市市、伊藤冨士男社長)だ。包丁切りで丹精込めて作り上げている「伊勢うどん」は中部地方を中心に多くの消費者に受け入れられている。
そのいとめん本店が今、新たな生パスタづくりに挑戦している。「地元の素材を活用して何かできないか」(瀬田尚毅営業推進)と考えた同社は、需要が上向きのパスタに目を付けた。ただ同じ麺とはいえ、うどんとは製造工程が異なる。また原料となる小麦をどうするかも課題になる。そこで5年ほど前から製粉会社とタイアップし、小麦は三重県産の「ニシノカオリ」を使うことにした。国産小麦を使った生パスタはまだ珍しいし地元にも貢献できる。
生パスタは小麦本来の風味が引き出せる商品だ。ニシノカオリの特性はたんぱく質の含量が多いのでコシが強いうえ、アミロース含量が少ないことから、もちもち感が出る、などが挙げられるという。これは同社が目指す生パスタに最適だった。このため同社はこの小麦を使い、うどんとは違う特別な挽き方をしてもらって製粉会社と試行錯誤しながら作ってきた。
一方、新商品開発・販売の自助努力を行うのと並行して国からも支援してもらおうと、地域資源活用事業の認定を申請し、「平成21年12月に認定を受けた」(同)。そして「理想の生パスタ」(同)を完成、販売にも本格的に乗り出した。商品名を「パスタミーエ」と名付け、まず地元のイタリアンレストランに納入、徐々に販売圏を広げつつある。
同社の主力である伊勢うどんは現在、同社売り上げの9割を占める。これを今後、生パスタの売り上げを伸ばし、うどんと生パスタの売り上げ比率を5対5まで持っていきたい考えだ。うどんはゆで麺で、生麺である生パスタとは工程が違い苦労はあるが、「生産能力はまだまだある」(同)と意欲満々。国産小麦を使ったこの生パスタ、従来の外国産小麦が主流のパスタ製品にくさびを打ち込めるかどうか注目したい。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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