(株)いうら
■利用者の声を製品化して技術を進化させる介護機器メーカー
業種:介護機器メーカー
(株)いうら
5年前に介護保険制度がスタートして以降、介護福祉に関る用具市場も急拡大する中、「新制度に合致する製品はメーカーのお仕着せでなく、利用者本位が基本。その考え方に徹し、人と機械の融合をテーマに独創的な製品づくりにこだわっている」と語るのは、介護福祉機器メーカー(株)いうら(愛媛県温泉郡重信町、従業員116人)の井浦洋社長。
昭和48年、町工場として創業した同社だが、同53年に介護福祉機器メーカーに転身した。きっかけは創業者の身近なところにあった。寝たきりの父親と介護疲れの母親のためにつくった電動寝返りベッド。それが国際的特許を持つ「乗せ換え装置付ストレッチャー(搬送機)」として普及し、国内では80%以上のダントツのシェアを占める製品に育ち、同社の知名度を高める看板製品ともなった。
必要に迫られて開発した寝返りベッドだが、これを出発点に、同社は一貫して「介護労力を軽減する」「お年寄りを寝たきりにさせない」機器の開発に徹してきた。だから、主力製品はベッドからベッドへ人を運んだり、一人で乗り移れる車いす、入浴キャリーなど他社にはない“オンリーワン製品”が主体。いずれも、お年寄りにも操作できる簡単な構造だが、国内外で取得した特許は100件余にのぼる。その技術力が同社の強みでもある。
技術開発を主導するのは、アイデアマンの創業者(現名誉会長)。最近、金属棒の中心部だけを膨らませる「軸肥大加工」という金属加工法を開発、世界初の画期的塑性加工法として一躍脚光を浴びている。この加工法は車のシャフトなどへの応用が可能なので大手鉄鋼メーカーとの共同研究も進行中。創業者のこの偉業を3代目の井浦社長が引き継いで、福祉機器分野の枠を越えた一大飛躍の事業展開を目論んでいるところだ。
“必要は発明の母”を地でいくように、同社は介護現場の切実な声を製品開発に結び付け、町工場から介護機器業界でトップシェア製品を持つ専業メーカーに飛躍した。「役に立ちたい」という強い思いの製品づくりが技術を伸ばし、その技術力が事業を発展させている。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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