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2006年の記事

 

 

 

 

 

上越ケーブルビジョン株式会社(JCV)

 

■“革命期”に挑む雪国のCATV会社

業種:ケーブルテレビ会社
上越ケーブルビジョン株式会社

「楽しくやわやわやっています。みんな、テレビでつながろうさ!」。新潟県上越市を中心としたエリアでCATV事業を営む上越ケーブルビジョン株式会社(JCV)(上越市、大島精次社長)は、ホームページで、市民自らテレビ番組を作りましょうと、ソフトに呼びかけている。ちなみに、「やわやわ」は、同地方で「ボチボチ、のんびり」の感じだそうだ。

同社が、上越市をエリアに放送を始めたのは1986年。89年には、隣り合う妙高市にもエリアを広げながら、この20年着々と加入世帯を増やし、いまやエリア内普及率64%(エリア内世帯数5万7115、放送加入世帯数3万6450)という高い普及率を実現している。CATVの世帯普及率は平均30数%とされていることと比べ、極めて高い普及率だ。

普及率を押し上げたひとつの要素に、同地の豪雪がある。“雪に弱い”とされるアンテナが不用のCATVは確かに“競争力”抜群。創業時に急普及したのは雪国という土地柄があったことは否めない。しかし、いまや、ここまで普及率が上がると、新たな競争力を求められる。ここに大島社長を陣頭とする大胆な新規投資を軸とする積極経営が浮かび上がってくる。地上デジタル放送を中心とした放送革命、インターネットを核とする通信革命、それらが、同時・複合的な大波となって、CATV界に容赦なく襲ってきているからだ。この大波に対応できる新しい放送・通信技術を取り入れたCATVでなければ生き残れない時代だ。同社が、地上デジタル放送時代に備えた大投資を行い、この春からサービスを開始する一方、近く、CATV回線を利用した「光インターネットサービス」を開始するのも、ライバルの大手放送会社、通信会社が、同社の顧客を奪おうと虎視耽々だからだ。パソコンでTVを見る時代の波がひたひたと足元に押し寄せてきているのだ。

一方で、高い普及率を維持するために、“地域”のCATVとして定着を図ろうとしている。市民の手で番組作りを働きかけているのもこの一環。冒頭のソフトな呼びかけは「市民ディレクター養成講座」のホームページ案内のキャッチフレーズだ。自分たちの地域のTVとして、自分たちの手で番組を制作し、放送しようと呼びかけているのだ。大胆な先端投資と地道な“土着戦略”を絡み合わせながら、雪国のCATV会社は岐路を乗り切ろうとしている。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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