株式会社アミノ
■苦境をテコに世界を狙うパワーを備えたプレス機メーカー
業種:プレス機メーカー
株式会社アミノ
製造業の必須設備といわれるプレス機械。油圧方式が主流のこの分野にも技
術革新が進行し、サーボモーターで駆動するサーボプレス機が注目を集めてい
る。その火付け役でもある株式会社アミノ(静岡県富士宮市、網野廣之社長)
は、この新機種で世界最大級の加圧能力を実現して一躍脚光を浴び、業界に新
風を吹き込んでいる。
プレス機械は、金属などの被加工材を金型の間に挟み込み、強い力の上下運
動(スライド)によって被加工材を押し付けて金型と同じ形状を作り出す。ス
ライドの駆動には油圧式と機械式があるが、同社はモーターで駆動する新発想
を取り入れ、社運をかけてサーボプレス機の開発に取り組んだ。苦節10年余。
21世紀入りと時を同じくして、困難視された加圧能力の世界最高(2万
5000キロニュートン=約2550トン)を実現し、競争力を備えた。プレ
ス機の生命である強い圧力を達成したうえ、調節が自由で油圧式に比べ省エネ
・低騒音・低振動なのが特徴。これらがセールスポイントとなって、自動車の
高張力鋼板など高強度素材加工分野などにユーザーを急拡大し、いまでは売上
げの60%以上を占めるメイン製品に育った。
もともと同社は油圧プレス機メーカー。1930年に創業し、一時は金型メ
ーカー向けのトライ用ダイスポッティングプレス機で国内シェアトップを占め
ていたが、バブル崩壊後に転機が訪れる。売上げ急減して苦境に陥ったが、リ
ストラは避けた。その人員を技術開発とユーザー開拓に振り向け、体質改善に
注力した。その辛抱の結果、サーボプレス機のほか、多品種少量生産に対応で
きる板金加工法などを開発し、併せて設計・製作会社を中核に、販売会社、メ
ンテ会社、金型・少量生産担当会社、米国法人という5社体制を確立した。今
後さらに適材適所の人材を配置して役割を明確にし、そのグループ力で世界市
場を狙うという戦略だ。
ものづくりの基本となるプレス機械だが、「工作機械などに比べると技術革
新が遅れていた」と網野社長は振り返る。足元を直視して技術開発を優先した
メーカー気質と、リストラの危機を乗り越えた社員パワーが、新たな発展の原
動力になっているのは間違いない。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
著作者の承諾を得て掲載しています。無断転載ご遠慮願います。
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