株式会社グリーンテクノ21
■“コロンブスの卵”を地でいく卵殻ビジネス
業種:卵殻再生製品の製造
株式会社グリーンテクノ21
何と、日本人の鶏卵の消費量は世界1、2位を競う。家庭での消費のほか、業務用に使われる分も含め、1人当たり年間330個弱(換算)とのデータがある。当然、用済みとなった卵の殻の廃棄量も膨大なものだ。その再生利用に着目して起業したのが、株式会社グリーンテクノ21(佐賀県佐賀市、下幸志社長)。事業化して丸3年のニュービジネスだが、卵殻の再生製品を次々と世に出し、生活に身近なゼロエミッション事業の旗をかざして拡大路線を走り始めた。
卵殻は天然の清潔な炭酸カルシウム素材である。この特徴を生かすために、同社は卵殻を科学的に研究し、短期間のうちに独自の用途開発技術を身に付けた。基本は洗浄・殺菌した卵殻を微粉化し、再生処理する技術にある。卵殻は大手食品メーカーの工場から安定的に確保する仕組みをつくった。最初に製品化したのは運動場用の白線材。卵の白さを引き出したうえ、既存の消石灰に比べ肌障害などの心配がない。さらに、野球ボール用滑り止め材や黒板用白墨も商品戦列に加えた。何と、赤や青などカラー化も可能。庭や花壇にまけば土壌改良剤として使用でき、芝生の保全にも有効な肥料となる。これらの製品は「人にも大地にもやさしい」との触れ込みで、学校や公共団体、企業、家庭へと市場を広げている。
同社は2003年起業の新生ベンチャー。資源をムダ使いしないゼロエミッション企業として受けているが、いいことばかりではない。製品に季節性が強いので、年間を通じて手堅い需要のある製品を育てることも課題のひとつ。そこで、卵殻の不燃性、軽量性、温度調整機能といった特性を徹底的に追及し、壁材、漆喰製品などの建材分野に進出した。塗料に応用する技術も確立した。昨年秋にはパートナー企業と共同で卵殻を家電や自動車、船舶などの試作部品に利用する技術を開発して話題を呼んだ。廃棄物だった卵殻が最先端産業の新素材として再登場したわけだ。
多くの人が見過ごしてきた卵殻に、創業者の下社長は猛烈な情熱を燃やした。リサイクルを広げて「人や地域が喜び、感動する社会を創る」との理念を身近な卵殻で実現しつつある。それは「誰にでもできそうだが、最初にするのが偉業」という意味合いの「コロンブスの卵」の実践でもある。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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