株式会社ヒルコ
■雪国を豊かにしたい
業種:融雪機、融雪システムの開発製造
株式会社ヒルコ
北海道はじめ北日本の雪との戦いは壮絶である。その困難をおして、北国の住民、企業は知恵を働かせて生き、働き、企業経営を発展させてきている。助けが必要だ。雪国で豊かに暮らす助っ人。そこに人あり、企業があるものだ。雪国生活を豊かに、を原点に、各種の融雪機、融雪システムを生み出してきた株式会社ヒルコ(札幌市)がその企業であり、加賀義之会長はそれこそ、雪を溶かす情熱のトップだ。
同社の創業は1981年(昭和56年)。このごろでは融雪機器やシステムは珍しくなくなったが、創業当時、世間に「屋根に積もった雪を、お金かけて溶かすという発想は普及していなかった」(加藤会長)し、むしろ“異端”だった。しかし断行した。創業間もなく、第1号の融雪システムを開発、市場に打ち出した。反響は大きかった。「売れに売れた」(同)。この屋根融雪システムは、その後も幾たびか改良を加えながら、成長商品となり、現在も年間300−400棟の施工需要を持つロングセラーモデルとなっている。異端が“常識”に取って代わっていく歴史だ。雪国の障害をなんとか取り除きたい。同社の原点はそこにあったし、その原点にこだわったトップをリーダーとする同社スタッフの熱いマインドと行動が新市場を切り開いていった。
屋根に積もった雪を溶かす(ルーフヒーティング)技術のもとにあったのは、道に積もった雪を溶かすロードヒーティングの技術。足元から屋根へ融雪技術を展開した同社だが、さらにこのルーフヒーティング技術の練磨・改良の大きな弾みになったのが、大手家電メーカーへの納入だった。高レベルの品質要求、品質管理、品質保証のハードルを乗り越える過程で同社の融雪技術は一段の飛躍を果たしていく。融雪技術の本格的なビジネス化の道でもあった。一般家庭に融雪機の設置を助成するという札幌市の制度採用も大きな追い風となった。
儲かるとみて新規参入も相次いだ市場だ。一方で撤退していく企業も出た。冷たい雪を巡って熱いサバイバル戦が続いてきた。しかし、雪国の生活を豊かに、を原点に経営の軸足がぶれなかったヒルコは常に業界をリードしてきた。高齢化の進展でいまや一層、安全で豊かな雪国生活が求められてきている。同社は複合技術を織り込みながら一段の新技術開発に挑む毎日だ。創業時の雪をも氷をも溶かす情熱の経営を上回る熱気が社内に満ちてきている。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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