東京総研トップへ

元気な企業(最新)

2007年の記事

 

 

 

 

 

株式会社河内屋

 

■オリジナル蒲鉾で活路を拓く

業種:高級蒲鉾製造
株式会社河内屋


もうじき桃の節句だが、身近に女の子がいたらお祝いに「食べられるお雛様」を贈ってみてはいかがだろう。蒲鉾でできたお雛様。受け取った人は驚くと同時に、見た目の美しさ、かわいらしさに思わず顔をほころばせることだろう。お節料理や酒の肴の板わさとして、古くから日本人にとって身近な食材である蒲鉾を「サプライズな贈り物」にして全国に送り出しているのが高級蒲鉾製造業者株式会社河内屋(富山県魚津市、河内一雄社長)である。伝統技術にオリジナリティをミックスした取組みを紹介しよう。

1947年の創業以来、富山特産の昆布巻きや赤巻の製造・販売を手掛けてきたが、1976年に現社長が先代から事業継承すると、量販品の製造販売から素材を厳選した高級・オリジナル製品路線への事業展開に着手した。1981年に最初に考案されたのが「鮨蒲」で、蒲鉾の上にあわび・穴子・天然ブリなどの鮨ネタをのせたこれまでにない高級蒲鉾である。発売当初、地元ではなかなか受け入れられなかったが、雑誌やテレビで紹介されたことや、百貨店での販売により「変わり蒲鉾」として徐々に知名度が向上し、元祖「鮨蒲」のブランドを確立していった。お中元・お歳暮などの贈答商品として、息の長いヒット商品になっている。類似品も出回るようになったが、製法特許をはじめ実用新案や商標登録など権利保護の手立てを講じていたこともブランド確立に大きく貢献している。

看板商品「鮨蒲」のほか、冒頭で紹介したお雛様蒲鉾などの季節限定商品やケーキの形をした蒲鉾、結婚式のお見送りギフトにお嫁ちゃん蒲鉾と変り種のプレゼントとして贈答品市場をターゲットに次々に商品開発をしてきた。こうしたオリジナル路線を支えてきたものに伝統技術がある。もともと富山県には、祝い事に欠かせない鯛や鶴亀をかたどった「細工蒲鉾」があり、鯛の姿をした当社の「祝い鯛(いわいたい)」は手のひらサイズから5kgを超える特大サイズのものまである。職人技を活かして、海老や牡丹などの細工をあしらった丸い手まり型の「手まり蒲穂子」や季節やお客様の要望にあわせたオリジナル蒲鉾を販売してきたのだ。もちろん見た目だけでは長続きはしない。原材料にこだわり職人が丹精込めて手作りすることにより、味にも定評を得てきた。また、百貨店と直営店での販売を中心に展開し、陳列・包装にまで細やかな気配りと工夫をすることでブランドの確立・維持に努めてきている。

1995年には業界でいち早く通信販売を手掛け、現在は集客力のある楽天市場に出店することで挑戦の幅を広げている。今後も幅広い顧客に支持される、「味」と「技」の満足感に「遊び心」を加えた蒲鉾作りが期待される。




著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


著作者の承諾を得て掲載しています。無断転載ご遠慮願います。

 

▲ TOP

2007年の記事に戻る