株式会社東和電機製作所
■函館のイカ釣り機が世界の海を制す
業種:イカ釣りロボット製造販売
株式会社東和電機製作所
地域資源の中から生まれ育った企業は数知れない。事業展開も様々だが、成功企業に共通しているのは土地柄を深く刻んでいることだ。漁業が盛んな函館に創業した株式会社東和電機製作所(北海道函館市、浜出雄一社長)は、漁具の自動化で近代漁業の新機軸を開き、イカ釣りロボットでは世界シェア70%を占めるトップ企業に成長した。函館発のビジネスモデルを世界に示し、「元気なモノ作り中小企業300社」にも選ばれた国際企業でもある。
同社は1963年に函館に創業した。当初は船内の配電盤などを下請け生産していたが、地元漁師から要望のあった電動リールやマグロの一本釣り機、ホタテ穴あけ機など漁具の自動化・電子化に心血を注いだ。その技術修練を基に、71年に自動イカ釣り機を開発した。これが発売4年後には年間1万台を超えるヒット製品となって一気に知名度を高めた。現在では国内はもとよりアジア、欧米地域など30ヵ国余に輸出され、イカ釣り漁業に関る専門分野ながら、世界の7つの海を制覇する製品に育った。
1970年代以降はイカ釣り機の使用がブーム化し、一時は全国で40社に及ぶメーカーが凌ぎ削っていた。同社は漁師と一緒になって改良を重ね、熟練の釣り技をデジタル化し、魚群探知機能を付加してマイコン制御によるイカ釣りのロボット化を実現した。これを搭載した漁船は確実に釣果が大きいことが実証されて人気化し、いまでは競合メーカーは極端に減り同社製品がダントツのシェアを占めるに至った。これだけではない。同社が持つ漁具分野の特許・実用新案・意匠登録件数は70件に及ぶ。イカ釣り機を看板製品にエレクトロニクス技術を蓄積して自社ブランド製品を増やしてきた。目下は、電波を使った遭難救助システムなど新規製品の開発を着々と進め、新市場への進出を本格展開しつつある。
漁業は地球規模の産業である。地域の先にあるのは世界市場だ。その視点に立って、「函館を拠点に世界の漁業に役立つ技術開発に徹する」と浜出社長。海と密接な土地柄こそ、同社の経営資源、地域資源であり、戦略展開の原点というわけだ。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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