株式会社環境浄化研究所
■産業技術を民生に活かしてヒット商品を連発
業種:ナノテク技術の研究開発
株式会社環境浄化研究所
大学発ベンチャーと同様に、公的研究機関発ベンチャーも続出し、成功事例が増えている。旧日本原子力研究所(現在は独立行政法人日本原子力研究開発機構)のベンチャー支援制度の第1号認定を受けて1999年に設立した株式会社環境浄化研究所(群馬県高崎市、須郷高信社長)はその代表格。創業して数年程で自社製品をヒットさせて自立経営を軌道に乗せ、勢いづく事業拡大テンポが注目の的になっている。
同社が事業化したのは、旧原研の研究成果でもある「グラフト重合」というナノテク技術。植木屋の接木(丈夫な幹に別の枝を接ぐ方法)の要領で、布や繊維などの基材に放射線を照射して化学変化を起こし別の機能を付加する最新技術だ。その技術を生活用品に応用して、悪臭を取り除く消臭製品や有害物質を吸着するフィルターなどを製品化したところ、相次いでヒット商品化した。それがさらに、次の商品開発を促進し、同じグラフト重合技術を応用した製品が50点を超えるなど、製品展開は年々増え、売れ行きも総じて順調に推移した。いわば、産業技術の民生利用に成功した事例ともいえる。
最もヒットしたウイルス防止マスクは、細菌だけでなくウイルスも防除する点が受けた。物質への固定化が困難な織紙にグラフト重合を施してイオン吸着機能を持たせ固定化を可能にしたのがミソだという。この他ペット消臭製品、抗菌消臭寝具、消臭生活雑貨などいずれも専門的な技術だが、その製品はわかり易い。加えて、商品のパッケージには原理を平易に説明し、グラフやイラストで商品効果を分かり易く表記した。実は、「消費者に“分かり易く”伝える販売手法がヒット商品を生んだポイント」と須郷社長が分析するように、独自の顧客戦略を身に付けることが自立経営には欠かせない。
当初は通信販売が中心だった同社の製品は、いまでは大手メーカーへのOEM(相手先ブランド)供給の道を開き、販路をドラックストアやコンビニにも拡大した。昨年からは老人介護施設やホテル向けに空気清浄装置を商品化し、大型生ごみ処理施設の消臭や土壌浄化分野にも手を伸ばしてきた。何と、同社自体がグラフト重合技術を幹に、看板通りの環境浄化を接木して成長しているように見える。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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