(株)木村産業
■「組織として動ける会社に」
業種:国産木材の加工販売、丸太の販売
(株)木村産業
国産材の加工販売、丸太の販売を手掛ける(株)木村産業(岩手県二戸郡一戸町)の舘(たて)幸男社長は、それまで指揮命令系統がなかなか機能しなかった会社を「組織として動ける会社にする」と自らと社員に誓う。今から2年半ほど前、急きょ、社長に就任した時のことだ。
平成21年12月、土浦営業所長をしていた舘社長に突然の悲報がもたらされた。創業社長である木村康司氏が急逝したという電話だった。木村前社長は昭和61年に個人事業として創業、20年余で業界の有力企業に育てた実力者だ。社長個人の図抜けた力で会社を引っ張ってきた。
その跡を継いだ舘社長は、年末のあわただしい中、まず仕入れ先の青森県などの原木業者を回り、従来通りの原木納入を依頼、社員にも「仕入れ先も応援してくれる」と安堵感を与えた。「仕入れができ、社員さえ残ってくれれば事業は立派にやれる」と舘社長は、土浦営業所で10年ほど販売に取り組んだ経験から先行きに絶対の自信があった。
わが国の木材自給率は約2割と国産材に比べ外材の占有率が高い。その中で同社は「日本の自然風土に育った国産材」のみを関東や東北地方中心に供給する。現在では、生産能力が日産130立方メートルと板ものを挽く企業としては、東北でトップクラス。敷地内には複数の全自動無人生産ラインを持つ。こうした生産体制の下、同社は丸太の中心50%を製材へと加工し、バーク(樹皮)は熱源に利用、さらに加工後発生するチップは製紙会社へ、オガ粉は地元畜産会社などで利用するといった具合に、1本の丸太を無駄なく活用する。
他方、大きな課題も。組織と生産管理などにメスを入れ、本来の企業組織として動ける会社にすることだ。同社長は中小機構東北本部に出向き相談した。社長になってわずか1カ月余りしか経たない平成22年2月のこと。中小機構から専門家派遣の支援を受け、「稼働率の概念すら頭になかった」同社が組織としてのルール、事業計画、指示命令系統などを定め、社員挙げて実践した。これが売り上げ、利益に好影響を及ぼしつつある。ピンチをチャンスに変えた社長の手腕は見事と言うほかない。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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