東京総研トップへ

元気な企業(最新)

2008年の記事

 

 

 

 

 

キングパーツ株式会社

 

ロストワックス製法で新たな4000年に挑む

業種:ロストワックス製法による鋳物製作
キングパーツ株式会社


鋳物のロストワックス製法はメソポタミア時代に考えられたという。紀元前2000年以上前に生まれていたことは間違いなさそうだ。それ以来、今日までに技術的には大きな進歩を遂げたが、基本的な技術は4000年以上経った今でも変わっておらず、脈々と受け継がれている。焼き物や紙などの歴史には及ばないかもしれないが、ロストワックス製法による鋳物はモノ作りの原点の一つといえる。

キングパーツ株式会社(広島県福山市)は昭和39年に創業した。すでに50年以上経過しているが、鋳物業界ではまだ若い企業に入るだろう。日本にロストワックス製法が持ち込まれたのは奈良時代と言われる。それ以来、鋳物職人がその技術を受け継ぎ、改良を加え、新たな材料などを取り込みながら今日に至った。キングパーツにも進化した技術やノウハウが受け継がれているわけだ。

ロストワックス技術の原型が今日まで変わらなかった最大の理由は、生産工程が比較的単純でありながら、精密な鋳物が作れることに起因しているのだろう。また、ブロンズ像や祭器、農具、武器に始まり、今日の産業用機械部品、自動車や家電などコンシューマー製品まで、鋳物が時代のニーズに沿って作られたことも、衰退せず生き続けた理由だと思われる。

製法は、ロウで製品の模型をつくり、その上に型となる材料をコーティング、さらに熱でロウを溶かし、溶けて隙間の開いた部分に、溶解した鉄など流し込み、固まったら型を取り除くというもの。さらにバリ取りなどの加工工程はあるが、精密な鋳物が作れるのは、原型にロウを用いるため、機械加工では難しい複雑な形状や微妙な部分まで加工できるためだ。溶けた金属材料を流し込むため、鋳物の内部に「巣」と呼ばれる空洞が生じやすく、大型部品には適さないという難点がある。ただ、この難点も時が経てば新たな技術が生まれ解決するだろう。

ロストワックス法の原理は簡単だが、製造法や検査法、さらにワックス剤、金型材料、製品のために使用する材料などの技術は、時代とともに確実に進化している。高橋孝一社長は「これからはチタン合金など今までやったことのない材料で、高付加価値製品の開発に取り組む。ロストワックス製法の可能性を広げていきたい」と意欲を示す。ロストワックス鋳物の技術は、これから何千年先も脈々と受け継がれ、予想もつかない最終製品が生まれるかもしれない。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


著作者の承諾を得て掲載しています。無断転載ご遠慮願います。

 

▲ TOP

2008年の記事に戻る