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2012年の記事

 

 

 

近畿刃物工業(株)

■「安値競争に参加しない」

業種:段ボール加工用刃物の製造
近畿刃物工業(株)


産業界の物流には欠かせないのが段ボール。昨今の物流量の増加で段ボール需要は増えているものの、デフレ経済の長期化や原料高の影響で段ボールを供給する加工メーカーは厳しいコスト競争を強いられている。こんな中で段ボール加工用刃物の製造というニッチな分野に特化して気を吐いている企業がある。

大阪府守口市に本社を構える近畿刃物工業(株)は、厳しい環境の業界にありながら高いシェアを持ち、事業を成長させている。成長の秘訣について阿形清信社長は「安値競争に参加せず、顧客を驚かせる高いレベルのモノづくりに挑戦し続けることだ」ときっぱり語る。安値競争に巻き込まれないだけの高い技術に自信を持っている。

同社は高性能・長寿命を目標に、設計段階から成型加工、熱処理、研磨仕上げまで一貫して段ボール用加工用刃物の開発、製造を手掛けている。平成16年に経営革新計画の承認を取得し、翌年には品質・保証の国際規格、ISO9001も取得した。刃物の耐久性が増せばユーザーの買い替え回数が減るため、ユーザーは適正価格を受け入れてくれる、との確信に満ちた路線を突き進む。

阿形社長の経営スタイルは時流を読みながらも一喜一憂せず、機を見て社員や設備に投資する「攻め」の姿勢にある。顧客から受け取った利益はこれらに還元し、より高いモノづくりを目指す。平成19年から毎年、レーザー加工機やマシニングセンタなど大型の投資を行っているほか、本社の近くに超硬刃物の製造に使う専用工場も整備した。

原価低減のための現場改善活動、ユーザーの微妙な要求形状に応える正確な製品管理など気を配る点は多い。また社員にピンクと青のシャツを支給し、やる気に満ちあふれた日はピンクのシャツを着るよう取り決めている。社長をはじめ社員は当然、いつもピンクを着用、こうしたやる気の「見える化」というユニークな取り組みも「阿形経営」の一つだ。

段ボールに特化した刃物の製造に一途にまい進してきたことで、知識、技術を他社より多く蓄積し、品質の高い製品を生み出しているといえる。      


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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