コミー(株)
■“真似もしないし、真似もされない”創造こそ命!
業種:ミラーの製造・販売
コミー(株)
「ビジネスの基本は役に立ってお金をいただくこと。役に立っているか、役に立つにはどうすれば良いかを常に考え続けている」と、信頼の経営哲学を披瀝するのは、「死角を生かす気配りミラー」で知られる「コミー(株)」(埼玉県川口市、従業員数12人)の小宮山社長。
同社の前身は看板業。1982年に看板業から撤退し、ミラーの製造・販売に特化してきた。転機は思わぬ所にあった。看板業を営んできた中で、77年に回転看板にミラーを付けた商品を集客ディスプレー用として展示会に出展したところ、これが意外と評判を呼び、あるスーパーからは30個もの「大量」注文が舞い込んだ。先方の発注動機は、何と「万引き防止に役立つ」という予想外のものであった。集客効果よりも万引防止効果が評価されたのである。
同社はこの「市場からのシグナル」を見逃さなかった。これをきっかけに防犯用ミラーメーカーへと歩み始めたのである。その後もユーザーの意見を取り入れながら多くのミラーを開発。順調に業績を伸ばし続け、店舗用防犯ミラーは市場の8割を占めるまでになった。
鏡は、本来、自分を映し出すもの。しかし、同社は自分以外の人や物の動きをとらえる鏡を開発することに力を注いだ。死を生に変える願いを込めて、社長は「死角を生かす気配りミラー」と呼んだ。
また、同社は「競争」よりも「創造」を大事にするメーカーであった。毎日、競争に明け暮れる企業をよそ目に、同社はそのエネルギーを「創造」に振り向ける。「土壌にあった種を蒔き、じっくり育てて、特許や販売・製造のノウハウというバリアで外敵を防ぐ」というのが基本戦略。商品は全てオリジナルで、「真似もしないし、真似もされない」を目指す。そのためにユーザーの声にもしっかりと耳を傾ける。役に立っているかどうか絶えず市場に聞き、ユーザー
に尋ねているのである。
今や同社のミラーは、コンビニエンスストアはもとより、多くの店舗、更には大型航空機用にまで採用され、その領域は大きく広がっている。「小さな市場を極める」という同社のこのこだわりが、大きな果実を実らせている。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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