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元気な企業(最新)

2009年の記事

 

 

 

株式会社共伸

 

自社の強みを最大限に生かす

業種:超精密プレス金型製造
株式会社共伸

中小企業は必ずといって良いほど、強みと弱みを持っている。例えば金属加工を得意とするモノ作り企業であっても、加工分野全てが得意というわけではない。曲げ加工は優れた職人が多く集まり、品質などは他社に絶対に負けないという企業であっても、切削加工は苦手なのでできれば受注は遠慮したいという企業もある。こうした得手不得手は長年にわたり培った企業の伝統や歴史などに起因している場合が多い。

株式会社共伸(栃木県那須塩原市)は「創業以来40年間で自動車部品や電子部品など4000種を超えるプレス金型を手掛けてきた。とくに超精密プレス金型の加工技術と設計・製作技術では他社の追随を許さないほどの強みを持っている」(前田真作社長)という。この強みを生かしつつ独自の仕組みを構築することで新しいユーザーニーズに応えてきた。とりわけ樹脂成形金型や複合加工分野では多くの難問を解決しており、蓄積されたノウハウも極めて多い。

中小企業は全てを自ら手掛けることは不可能に近い。まず自社の強みを見極め、それを発展させる一方で、弱みは思い切って切り捨てる必要がある。弱みを抱えたままでいると、企業経営にも支障を来すことさえある。最近は大企業でさえ弱みになっているような部門を他社に売却したり、廃止したりするケースが増えているが、弱い部門を排除することで、強い部門を生かそうということに他ならない。

同社が開発したエアコンの温度調節用バルブシートが、2006年にステンレス協会の優秀賞を受賞した。このバルブシート開発にあたって40年にわたり積み上げてきた強みがいかんなく発揮されている。バルブシートは通常、真ちゅうを切削加工して作り上げるが、この方式では加工時間や材料費がかかりすぎていた。そこで軟質ステンレスを採用、連続冷間鍛造プレス加工により低コストの生産を可能にした。

強みを最大限に生かし、その強みの中から新たなモノを作っていくことで、無駄を排除することができる。また、この延長線上に新たな開発のアイディアが生まれる。同社もシームレス極細パイプの加工が契機になり「痛くない注射針」の開発へと進んでいる。弱みを生かそうとしても、成果が得られるかどうかの保証はない。強さをより強くすることが、経営拡大の極意だろう。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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