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2009年の記事

 

 

 

株式会社熊本精研工業

 

脱下請け成功の秘訣は「いいものを作る」

業種:金型製作、セラミック加工、精密治工具製作等
株式会社熊本精研工業

中小企業にとって「脱下請け」は大きなテーマである。下請け企業でも好況時は親会社から潤沢に仕事が出され、経営も安定する。無論、親会社からの要求はシビアだが、納期を守り、品質向上を図り、コストダウンを進めれば新たな受注も期待できる。ひとたび不況に見舞われるとこうはいかない。1社への依存率が高いだけに経営が不安定になる場合が多く、場合によっては発注ストップも起こる。

株式会社熊本精研工業(福岡県前原市)は「脱下請け」に成功した1社だ。同社は精密金型部品メーカーであり、半導体リードフレームなどを製造している。創業当時は金属加工関連の大手企業に依存した典型的な下請け企業だった。しかし「賃加工主体の経営では倒産に追い込まれることも予想される」(池内寿孝社長)と考え、下請けの弱さを克服する方策を模索した。得た結論は「脱下請け」を目指すことだった。

「脱下請け」といっても口で言うほど簡単ではない。池内社長は「取引先に日参して精密金型部品製造技術を学んだ」という。この努力が認められ取引の幅を広げることに成功した。さらに口コミなどにより新たな顧客も増えた。しかし下請けから脱却したがための苦労も多くなった。親会社の傘の下で漫然と仕事をしていれば済むというわけにはいかない。品質に対する要求や納期の厳守、値下げ要求は以前にも増して厳しくなっている。

「最高の顧客満足度を提供できるユニークな技術集団」(同)というキャッチフレーズも顧客の厳しい要求に対応していこうという意思の表れだ。「いいものを作り続けることと、顧客の要望を聞くこと」。この2点を徹底したことが下請けからの脱却をスムーズにした。営業マンが仕事を受注すると「いくら難題であっても、出来ることを前提にどう対応するかを全員で考えた」(同)という。

発注先から図面の提供を受け、精密金型部品を作った場合、図面どおりに完成しても、組み立てた時にズレが生じることが多い。このズレを製作時から調整して納品するなどの努力も重ねた。これは一例だが、下請け企業が「ユニークな総合メタルエンジニアリング企業」(同)を目指すためには、きめ細かい配慮が必要なのである。池内社長は「最新高精度技術を駆使しながらミクロの世界を創造し、納期厳守でお客様のニーズに的確に応え、時代の要請を満たす技術革新を追及していく」と下請け脱却後の生き方を示す。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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